気に入った家が見つかっても「また転勤になるのでは?」と感じて、なかなか購入に踏み切れない転勤族。マイホームを諦めて賃貸住宅での生活を続けることも1つの選択肢ですが、いつかは広々とした庭付きの一戸建てで、家族みんなで伸び伸び暮らしてみたいと考えている転勤族の人も多いことでしょう。
転勤族のマイホーム購入にあたり、最も大きなテーマとなるのがタイミング。ここでは、転勤族がマイホームを購入する主なタイミングについてご紹介しています。
転勤族がマイホーム購入を決断する主なタイミング
すでにマイホームを購入した転勤族の方々は、どのようなタイミングで購入を決断しているのでしょうか?主な7つのタイミングを見てみましょう。
子供が生まれた時
転勤先で奥様が妊娠・出産したことをきっかけに、マイホームの購入を決断する人もいます。
まだ子供が生まれたばかりなら、たとえ次の転勤が決まっても子供に大きな影響はないため家族全員で引越しできますが、なるべく同じ環境に腰を据えて子育てしたいと考える世帯の中には、出産を機にマイホームの購入を決める方もいるようです。
子供が生まれてからしばらくの間、奥様は子育てで忙しく仕事ができないかもしれません。もし、ご夫婦がまだ若ければ、生活費や子育ての費用を考慮して無理のない住宅ローンを検討することが大切です。
子供が幼稚園・保育園に入園する前
子供が自主的に友達を作り、少しずつ社会性を身につけていく最初のきっかけが幼稚園・保育園への入園。幼稚園・保育園に入園した後に引越しをすることになると、せっかく子供が自分で作った友達とお別れすることになるため、子供にとっては大きなストレスになりかねません。
子供の健やかな成長を見守るため、あえて幼稚園・保育園に入園する前にマイホームを購入し、現地でそのまま腰を据えて子育てを続ける方もいるようです。
子供が高校に入学する直前
子供が小学校から中学校へ進学する際、友達の入れ替えは多くありませんが、高校へ進学する際には比較的多くの友達が入れ替えとなるでしょう。そのため、小学校時代・中学校時代に比べると、高校進学のタイミングは、子供にとって引越しへの抵抗が大きくありません。このタイミングで転勤先にマイホームを購入する人もいるようです。
また、小学校・中学校は義務教育なので転校手続きは比較的容易ですが、高校は義務教育でないため、高校に入学してからの転校手続きはやや煩雑。その点も、子供が高校入学前に転勤先でマイホームを購入する理由の1つのようです。
ローンの完済年齢から逆算して適齢期となった時
住宅ローンの完済年齢から逆算し、適当なタイミングと判断された時にマイホームを購入する人もいます。例えば、完済年齢を70歳として返済期間を30年と設定する予定の場合、逆算して40歳のタイミングで住宅ローンを契約してマイホームを購入する、という形です。
なお、一般的に住宅ローンの審査では「完済年齢」を重視する傾向があり、なるべく若い年齢で完済できる予定の人ほど審査が有利になります。そのため、仮に返済上限年齢が80歳まで認められていたとしても、それより若い年齢で完済できる計画を金融機関へ示したほうが良いでしょう(70歳など)。
ほぼ理想通りの家に出会えた時
子供や住宅ローンの理由ではなく、シンプルに理想的な家と出会えたことを理由に購入を決める人もいます。単身赴任することに対して大きな抵抗のない方にとっては、1つの現実的な選択肢になるでしょう。
そもそも自分の理想に近い家は、簡単には見つからないものです。次の転勤先で理想の家に出会えるとは限りません。そうである以上、今住んでいるエリアに理想の家が見つかったならば、思い切って購入することも適切な選択肢と言えるのではないでしょうか。
定年退職した後
勤務先を定年退職し、以後は転勤の可能性がなくなった段階で家を購入する人もいます。現役時代にコツコツとお金を貯め、定年と同時に現金一括払いで家を購入する形です。
住宅ローンを組まないため金利分が得する点、老後生活を見据えた設計ができる点、通勤の必要がないため全国どこにでも終の棲家を建てられる点など、定年退職後のマイホーム購入はメリットの多い選択肢の1つと言えるでしょう。
転勤族がマイホーム購入をためらう理由と打開策
転勤族がマイホーム購入をためらう主な理由をまとめました。それぞれの理由を1つ1つ打開すれば、転勤族でもマイホーム購入のハードルが大きく下がるでしょう。
ベストタイミングを判断するのが難しい
いつ次の転勤を命じられるか分からない以上、マイホーム購入の適切なタイミングを判断することは難しいでしょう。
この課題に対し、結論や正解はありません。転勤族であるにも関わらず、どうしてもマイホームが欲しいならば、家族にとってのベストと思われるタイミングで思い切って購入に踏み切ることがおすすめ。
そうでなければ、一生涯、賃貸住宅住まいになる可能性があるからです。
家を購入したことを上司に相談し、なるべく自宅から通勤できる範囲での仕事を検討してもらうか、または一時的な単身赴任を容認するなどし、この避けられないハードルをクリアするしかありません。
どこにマイホームを購入するか悩む
マイホーム購入には前向きなものの、場所選びで結論が出ない人も少なくありません。主な場所の候補としては、今住んでいる場所(勤務中の場所)、夫の実家の近く、妻の実家の近く、老後も住み続けたい任意の場所などが挙げられます。
結論からいうと、場所に深く悩み過ぎる必要はありません。なぜならば、場所はどこであれマイホームという拠点を設ければ、その拠点を軸にして新たな秩序が生成されていくものだからです。どの場所を選んで良いか分からない人は、老後も住み続けたいと思える任意の場所を選んでも大きな問題はないでしょう。
なお、将来的に親の介護が必要となる可能性を考慮して夫や妻の実家の近くにマイホームを購入する人も多いようですが、発想を転換し、任意の場所へ親も同居できる二世帯住宅を建てることも現実的な選択肢です。
転勤が決まった後のマイホームをどうすれば良いか分からない
マイホームを購入した後に転勤が決まった場合、マイホームをどうすれば良いか分からないため購入に踏み切れない、という人もいます。
もしマイホーム購入後に転勤が決まったならば、基本的に選択肢は「売却する」「賃貸に出す」「単身赴任して他の家族は残る」の3つしかありません。
家族でワクワクしながら購入にいたったマイホームを早々に売却するのは、心理的にも抵抗があるもの。賃貸に出して家族で一時的に引越すか、または単身赴任するしかないでしょう。
会社の家賃補助を受けられなくなる
転勤の可能性がある従業員に対し、福利厚生の一環として賃貸住宅の家賃補助(住宅手当)を支給している会社は少なくありません。そのような会社の中には、マイホーム購入と同時に家賃補助が打ち切りとなるところもあるようです。
家賃補助が打ち切りとなれば、実質的な手取り額は少なくなる可能性もあるため、生活費等によく照らしながらマイホーム購入を慎重に検討したほうが良いでしょう。
ただし、多くの人は会社からの家賃補助欲しさに働いているわけではありません。生活費をやりくりして無理がないならば、夢のマイホームを手に入れて人生を充実させたほうが、家族全員にとってのプラスにつながるのではないでしょうか。
【まとめ】いつかは自分の家を持ちたいならば早めに家族で話し合いを
転勤族がマイホームを購入する主なタイミングをご紹介しました。
転勤族がマイホーム購入をためらう理由は理解できるものの、これらを理由にマイホーム購入を先延ばしにしていては、いつまでも自分の家を持つことができません。
定年退職後に住宅ローンを組むことは簡単でないため、一括購入できる十分な預貯金をお持ちでない人は、定年退職後も賃貸住宅での生活となる可能性があるでしょう。
転勤族のマイホーム購入にはいくつかのハードルがありますが、「いつかは自分の家を持ちたい」と考えているならば、無理なく住宅ローンを契約できる現実的な年齢までに決断することが大事。家族全員で、一歩踏み込んだ話し合いをしてみるようおすすめします。