警察官の住まいを大きく分けると、「独身寮・警察官舎・駐在所」「民間の賃貸住宅」「マイホーム」の3種類があります。
当記事では、それぞれの住まいのメリット・デメリットを比較した上で、マイホームを購入する警察官の方が利用できる「警信住宅ローン」の仕組みをご紹介します。
独身寮・警察官舎・駐在所
警察が直接用意している警察官向けの住宅には、独身寮・警察官舎・駐在所があります。
独身寮とは独身の警察官のみが住める寮のこと、警察官舎とは結婚後の警察官世帯が住める集合住宅のこと、駐在所とは警察官の事務所兼住宅のこと。慣習的に、独身の男性警察官は独身寮で生活することが原則となっています。
主なメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット
最大のメリットは家賃が安いこと。独身寮や警察官舎の場合は月額家賃1~2万円程度で、駐在所の場合は月額家賃無料となります。
仮に、40年間にわたって独身寮・警察官舎に住み続けた場合の合計住居費は480~960万円。一方、40年間にわたって家賃10万円の民間賃貸住宅に住み続けた場合の合計住居費は4800万円。
老後の生活設計に極めて大きな影響を与える金額の差です。
デメリット
自治体にもよりますが、概して警察の独身寮や警察官舎は、建物も設備も古い傾向があります。独身寮の中には、トイレや風呂が共同であるところも少なくありません。門限が設定されていたり、警察署からの急な呼び出しが入ったりすることがある点も独身寮のデメリットです。
結婚すれば警察官舎に住めますが、独身寮と同様、往々にして建物や設備は古め。湿気が多くカビに悩まされる、などという声も聞かれることがあります。
民間の賃貸住宅
結婚後、警察官舎ではなく民間の賃貸住宅に住む警察官世帯も少なくありません。
民間の賃貸住宅に住む主なメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット
大手民間企業などと同様、民間の賃貸住宅を借りている警察官には、月々の住宅手当が支給されます。
住宅手当の金額は所属する警察本部によって異なりますが、おおむね月額2万7千円ほど。仮に、40年間にわたり民間の賃貸住宅に住んだ場合、合計の家賃補助額は約1300万円にもなります。
デメリット
警察官舎などに比べれば、家賃の負担額が高くなる点がデメリットになるでしょう。
また、マイホームの購入と比べれば、住宅が自己資産として残らない点もデメリット。家賃を払い続けても自己資産にならないのなら、家賃の代わりに住宅ローンを払い続けて自己資産として残したい、と考える警察官もいるようです。
家を買う
最後に、マイホームを買うことの主なメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット
マイホームを大きく分けると注文住宅・建売住宅・マンションの3種類がありますが、これらのうち注文住宅を選んだ場合、規格化された設計図は存在しないため、家族のライフスタイルに合わせた自由な家を手に入れられます。
広さ・間取り・設備・デザインなども、すべて家族の自由。BBQやガーデニングを楽しめる庭や屋上を設けたり、広々したリビングを吹き抜け設計にしたりなど、基本的にはどんなワガママでも実現します。
デメリット
家の購入に際しては、賃貸住宅における家賃補助のような制度がありません。警察官に与えられた住居費の特権をすべて放棄し、住宅購入に掛かる費用を全額自分で用意することとなります。
なお、警察官が家を購入する場合、民間の銀行よりも有利な条件で利用できる「警信住宅ローン」があります。利用できるのは警視庁・警察庁・宮内庁・皇宮警察本部などの職員に限られますが、もしご自身が該当するならば、住宅購入の際にはぜひ利用を検討してみましょう。
警察官が利用できる警信住宅ローン
警信住宅ローンとは、警視庁・警察庁・宮内庁・皇宮警察本部などの組合員が利用できる住宅ローンのこと。
一般的な銀行の住宅ローンよりも条件が有利な面があるため、警視庁などの警察官の方々がマイホームを購入する際に、広く利用されています。
警信住宅ローンの主なメリットを見てみましょう。
利率の優遇制度がある
勤続20年ごとに利率が0.1%ずつ優遇されます。優遇上限は0.2%までです。
3つの返済方法から選べる
銀行などで一般的な返済方法「元利均等返済」と「元金均等返済」に加え、警信住宅ローンでは「元金同額返済」(生活状況の変化に合わせて返済額の変更ができる)という独自の返済方法も選択可能です。
各種の手数料が無料になる
住宅ローン実行時の事務手数料、保証料、団体信用生命保険料、繰り上げ返済手数料などが一切掛かりません。
融資額に応じた配当金が支給される(利用分量配当)
融資の利息に対して配当金(利用分量配当)が支給されるため、その分、実質的な金利負担が小さくなります。借入額が多いほど配当金も多くなる仕組みです。
【まとめ】住居に対して自分が求めているものと向き合う
警察官の住まいには、独身寮・警察官舎・駐在所などのほかに、民間の賃貸住宅やマイホームなどがあります。
- 独身寮・警察官舎・駐在所…可能な限り住宅費用を節約したい人向け
- 民間の賃貸住宅…適度に住宅費用を節約しつつ条件の良い住まいを選びたい人向け
- 家を買う…家族のライフスタイルを反映させた自由な暮らしをしたい人向け
住居に対して自分が求めている本音と向き合い、より自分に適した住まいを選ぶようにしましょう。