共働き世帯が住宅ローンを組むための年収の目安はいくら?適正額や組み方、注意点など

夫婦共働きで家を買う場合のポイント・注意点、世帯年収に応じた住宅ローンの融資額の目安、利用できる住宅ローンの種類などをご紹介しています。住宅ローン控除なども考慮の上、より世帯にとって適切な住宅ローンを検討していきましょう。

住宅購入にかかる費用の目安はいくら?

住宅購入にかかる費用は、物件の種類や立地、希望の条件によって大きく異なります。まずは、一般的な注文住宅と建売住宅・マンションそれぞれにかかる費用の項目をご紹介しましょう。

建売住宅・物件購入価格
・諸費用
・(中古物件の場合は)リフォーム費用
注文住宅・本体工事費
・付帯工事費
・諸費用
・(必要であれば)土地購入費

建売住宅の諸費用は、一般的に購入価格の6〜9%程度が目安です。注文住宅の諸費用は、一般的に総費用の5〜10%程度が相場となります。

住宅購入にかかる費用については、こちらの記事で詳しく紹介しているのでご覧ください。

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《世帯年収別》共働き世帯の適正な住宅ローン借入額の目安

共働き世帯で借り入れできる住宅ローンの金額について、年収倍率・借入限度額・返済額の3つの視点から解説します。

1:年収倍率で考える適正な住宅ローン借入額

年収倍率は、世帯年収に対して物件購入価格が何倍になるか示したものです。わかりやすく言えば、収入に対して、どれくらいの金額の住宅ローンを組めるかを示す指標となります。

ここで、購入する物件の種類ごとに調査した年収倍率(全国平均)をご覧ください。

購入物件年収倍率
土地付き注文住宅7.6倍
マンション7.2倍
注文住宅7.0倍
建売住宅6.6倍
中古マンション5.6倍
中古戸建5.3倍

(参考:2023年度フラット35利用者調査|住宅金融支援機構

上記の年収倍率のデータをもとに、年収ごとの住宅ローン借入額の目安を見てみましょう。

世帯年収額住宅ローン借入額の目安
400万円2,120〜3,040万円
600万円3,180〜4,560万円
800万円4,240〜6,080万円
1,000万円5,300〜7,600万円

年収倍率が高いほど高額な物件を購入できる反面、返済額が増えます。その反面、年収倍率が低いほどより低額な物件を購入することになるため、返済負担が軽くなります。

とはいえ、年収倍率はあくまでも目安です。住宅ローンの審査では、収入はもちろん資産や債務などを踏まえて返済能力を総合的に考慮します。

また、住宅ローンは長い年月をかけて返済していくものです。そのため、今の収入だけでなく、将来の収入も考えながら、無理のない返済計画を立てる必要があるでしょう。

2:借入限度額で考える適正な住宅ローン借入額

住宅ローンで借りられる金額は、住宅ローンを利用する人の毎月の収入から返せる金額を計算して決まります。

一般的な借入限度額は、次の計算式で算出可能です。

【年間返済可能額÷12ヶ月÷審査金利での100万円あたりの返済額(月)×100万円】

年間返済可能額は返済負担率をもとに計算されます。返済負担率は、毎月の返済額が年収のどれくらいの割合を占めるか示した数値です。フラット35の住宅金融支援機構では、年収400万円未満の場合は返済負担率30%以下、年収400万円以上の場合は返済負担率35%以下と定められています。

返済負担率の計算【1年間の返済額÷年収×100】
年間返済可能額の計算【手取り年収×返済負担率】

ここで、以下のモデルを例に、年間返済可能額と借入額をシミュレーションしてみましょう。

【年収400万円、返済比率35%、返済期間35年、金利1.5%、元利均等返済の場合】

年収400万円世帯の年間返済可能額は、返済比率を35%とした場合
「400万円(年収)×35%(返済比率)=140万円」という計算になります。

そして借入可能額においては
「140万円÷12ヶ月÷3,061円(100万円あたりの月々の返済額 ※)×100万円=38,113,906円」という計算になります。
※金利年1.50%の場合の、借入額100万円あたりの返済額は3,061円として計算

年収400万円世帯の借入可能額は、3,811万円が1つの目安となります。

また、シミュレーションサイトを活用して住宅ローンの借入目安額を調べることもできます。

※固定金利特約3年0.35%・返済期間35年・ボーナス500万円・元利均等返済の場合

世帯年収額年間返済可能額
(返済負担率35%)
住宅ローン借入目安額毎月の返済額(ボーナス7.6万円)
400万円約140万円約3,440万円約6.2万円
600万円約168万円約5,160万円約10.5万円
800万円約224万円約6,820万円約14.7万円
1,000万円約280万円約8,600万円約19.2万円

※金利参考:北洋銀行「ほくようスペシャル住宅ローンα定率型/ほくようスペシャル住宅ローンα定率型」
※試算参考:住宅金融支援機構「住宅ローンシミュレーション>借入可能額の試算(年収より算出)/返済額の試算」

上記で紹介した借入限度額は、あくまで金融機関が貸してくれる最大金額のことです。もちろん、この金額まで借り入れできるからといって、必ずしもその金額を借りなければならないわけではありません。

たとえば、世帯年収が400万円の場合、借入限度額まで借り入れすると、毎月約6.2万円の返済が必要になります。年収600万円の方だと約10.5万円、800万円の方だと約14.7万円です。

住宅ローンを借り入れる際は、無理なく返済できる金額 を第一に考え、そこから逆算して借りる金額を決めることが大切です。

3:返済額で考える適正な住宅ローン借入額

世帯の収入や借りられる金額だけで住宅ローンを決めてしまうと、毎月の返済が厳しくなり、ゆとりある生活が難しくなるかもしれません。だからこそ、毎月いくらまで返済できるかシミュレーションしておくことをおすすめします。

返済負担率の理想は25%以下と言われています。フラット35の利用者を対象とした調査では、2023年度の総返済負担率が23.4%であることがわかりました。

※参考:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」

ここで、返済負担率23.4%で計算した返済額をもとにした、住宅ローンの借り入れ目安額をご覧ください。

※固定金利特約3年0.35%・返済期間35年・ボーナス500万円・元利均等返済の場合
※返済負担率は23%として計算

世帯年収額年間返済可能額
(返済負担率23.4%)
住宅ローン借入目安額毎月の返済額(ボーナス7.6万円)
400万円約94万円約2,261万円約3.2万円
600万円約140万円約3,392万円約6.1万円
800万円約187万円約4,522万円約8.9万円
1,000万円約234万円約5,653万円約11.8万円

※金利参考:北洋銀行「ほくようスペシャル住宅ローンα定率型/ほくようスペシャル住宅ローンα定率型」
※試算参考:住宅金融支援機構「住宅ローンシミュレーション>借入可能額の試算(年収より算出)/返済額の試算」

上記はあくまで目安なので、実際の借入額は金融機関の審査基準や他の借入状況により変動します。また、返済期間中はライフイベントや年齢によって支出が増えたり、収入が減ったりする可能性を考慮しなくてはなりません。

返済額を抑えつつ借入額を増やしたい場合には、頭金を多く用意したり、返済期間を長くしたりする工夫も必要となるでしょう。

共働き世帯が住宅ローンを借りる際の注意点

共働き夫婦が家の購入を検討するにあたり、押さえておきたい3つのポイント・注意点をご紹介します。

無理のない返済プランを検討する

一般的に、世帯年収が高いほど住宅ローンの借入金額が大きくなりますが、共働き世帯や借入可能額に限らず、無理のない返済プランを立てましょう。共働き世帯が住宅ローンを検討する際、両方の収入を安定的に見込めるかを慎重に検討することが大切だからです。

将来的にどちらか一方が仕事を退く可能性もゼロではないため、共働きの収入を前提とした住宅ローンだと、返済に苦労することもあるでしょう。将来のライフプランも見据え、子供の教育費や老後の資金など、想定される大きな支出も考慮しましょう。

将来の収入も考慮する

共働き世帯が住宅ローンを検討する際、将来の収入がどう変化する可能性があるかを見据えることが大切です。たとえば、出産・育児による収入の変化、転職や退職の可能性、昇進や昇給による収入増加など、さまざまなケースが考えられます。

収入の変化によって、返済計画が大きく左右される可能性があるため、収入が減少した際のシミュレーションを行うことをおすすめします。現在の収入だけではなく、将来収入が減っても無理なく返済できる金額を検討しましょう。

離婚などのリスクを知っておく

共働き世帯が住宅ローンを組む際、離婚を想定したリスク管理も重要です。

一般的に、連帯保証や連帯債務、ペアローンで住宅ローンを借りている場合は、借入可能額を増やすことができます。しかし、離婚した場合には住宅ローンの借り方によって家の所有者が変わり、所有権やローンの返済を巡ってトラブルになるケースも少なくありません。

夫婦円満であることが何よりですが、万が一に備えて離婚時のリスクを考慮しておく必要があるでしょう。

共働き世帯の住宅ローンの組み方と特徴

共働き夫婦が互いの収入を合わせて住宅ローンを借りる場合、主な契約の方法には「ペアローン」「収入合算/連帯保証型」「収入合算/連帯債務型」の3種類があります。夫婦のどちらかが単身で借りる場合も含め、それぞれのパターンの特徴を見てみましょう。

1:単独ローン

夫婦共働きであっても互いの収入を合わせず、一方の収入を基にして単身ローンを組む世帯も多くあります。

この場合、夫婦の収入を合わせて組むローンよりも借入限度額は低くなりますが、将来的に無理のない返済ができる点はメリット。また、万が一契約者が返済途中で死亡したとしても、団信(団体信用生命保険)から残債が全額支払われるため、残された配偶者に返済義務が残らないことも安心材料になるでしょう。

比較的コンパクトな借入で済ませたい世帯ならば、仮に夫婦共働きだったとしても、単身ローンのみで十分かもしれません。

2:ペアローン

ペアローンとは、夫と妻がそれぞれ別々で住宅ローンを組む方法です。例えば夫が単独で3000万円の住宅ローンを組み、妻が単独で1000万円の住宅ローンを組み、それぞれを合算して4000万円の家を買うイメージとなります。ペアローンを組む場合、夫は妻の、妻は夫の連帯保証人になるよう求められます。

契約、住宅ローン控除、団信、所有権などの関係は次の通りです。

  • 住宅ローンの契約者…夫と妻の両方が契約者
  • 住宅ローン控除…夫と妻の両方に適用
  • 団体信用生命保険(団信)…夫と妻の両方が加入
  • 家の所有権…夫と妻の両方にあり

夫と妻が別々で住宅ローン控除を受けられる点は、ペアローンの大きなメリットと言われています。

3:連帯保証

夫婦の収入を合算し、その合算した収入を基に夫婦の一方が契約者、他方が連帯保証人となる住宅ローンです。

契約者は1人ですが、単身ローンとは違って夫婦の収入を合算することが前提となるため、借入可能額は単身ローンよりも多くなります。

例えば夫が契約者となって妻が連帯保証人となった場合、契約、住宅ローン控除、団信、所有権などの関係は次のようになります。

  • 住宅ローンの契約者…夫
  • 住宅ローン控除…夫のみに適用
  • 団体信用生命保険(団信)…夫のみに適用
  • 家の所有権…夫のみにあり

連帯保証人は団信に加入できないため、万が一連帯保証人が死亡しても、引き続き契約者には住宅ローンの返済義務が残り続けます。

4:連帯債務

夫婦の収入を合算し、その合算した収入を基に一方が「主たる債務者」、他方が「連帯債務者」となる住宅ローンです。例えば夫が「主たる債務者」となって妻が「連帯債務者」となった場合、契約、住宅ローン控除、団信、所有権などの関係は次のようになります。

  • 住宅ローンの契約者…契約者は夫で妻は連帯債務者
  • 住宅ローン控除…夫と妻の両方に適用
  • 団体信用生命保険(団信)…夫が加入(フラット35の場合は妻も加入)
  • 家の所有権…夫と妻の両方にあり

ペアローンの場合と同様、夫婦ともに住宅ローン控除を受けられる点は大きなメリットと言えるでしょう。

共働き世帯で住宅ローンを月々10万円返済するのは苦しい?

「今、毎月10万円の家賃を払っているから、住宅ローンの毎月の返済額も10万円で大丈夫では?」と考えている方も多いでしょう。しかし、家賃として払っていた金額と同じ金額で住宅ローンを組むと、思っていたよりも家計が苦しくなる可能性があります。

住宅ローンを組むと、毎月の返済額以外にも、固定資産税や火災保険料、そして将来の修繕費用など、さまざまな費用がかかります。共働きで生活に余裕があっても、どちらか一方が働けなくなった場合のリスクも考慮しなくてはなりません。

住宅ローンを組む際は、毎月の返済額だけでなく「その他費用」も考慮して、無理のない返済計画を立てることが大切です。

住宅ローンを無理なく返済するためのポイント

無理のない返済計画を立てるのは大切なことですが、このほかにも住宅ローンを無理なく返済するためのポイントがいくつかあります。

住宅ローン控除の活用

住宅ローン控除は、住宅ローン利用者を対象とした金利負担を軽減する制度です。ペアローンを利用すれば、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるため、税金の負担を減らすことができます。

住宅ローン控除の仕組みは、住宅ローンを組み、新築住宅や中古住宅を購入・建築した際などに、年末のローン残高に応じて収めた税金が返還されるものです。

住宅ローン控除を受けるには、次のような要件を満たす必要があります。

(新築住宅の場合)主として居住用の住まいであること
引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居すること
住宅ローンの返済期間が10年以上であること など

税負担を減らすことで、家計にも余裕が生まれます。

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返済期間を伸ばして毎月の返済負担を減らす

月々の返済額が大きな負担になる場合、金融機関に相談してみるのもおすすめです。

たとえば、借入期間を伸ばす「期間延長」なら月々の負担を減らすことができます。また、ボーナス払いにより家計が苦しくなる場合には、ボーナス払いを見直す方法も可能です。

もちろん、返済期間が伸びれば支払う利息が増えるデメリットもあります。しかし、無理をして返済額を維持しようとするよりも、将来の生活設計を考え、自分に合う返済方法を選ぶことが大切です。

返済の途中で他のローンに借り換える

借入時の住宅ローン金利よりも、適用金利が低い住宅ローンに借り換えることで、ローン残高や月々の返済額を軽減することができます。

借り換える際は、金利の種類を変えたり、返済期間を調整したりすることも可能です。たとえば子どもの教育資金で出費が必要になる場合、柔軟に返済プランを調整できるのもポイント。ライフプランに合わせて、柔軟に返済計画を立てたい人におすすめです。

今の日本は低金利時代です。ネット銀行をはじめ、一部の銀行でもオンラインで借り換えしやすくなっているので、調べてみるとよいでしょう。

繰上返済を利用する

もしも資金面で余裕が出れば、繰上返済を利用してまとまった金額を支払うことができます。これにより、利息を減らして総返済額を軽減できるため、将来的な支払い負担が減らせます。

繰上返済には、次のような種類があります。

  • 期間短縮型:返済した元本に相当するぶんの返済期間を短くする
  • 返済額軽減型:返済期間は変えずに、返済した元本分だけの月々の返済額を減らす

住宅ローンは、借入時に立てた返済計画に沿って毎月決まった額を返済するのが基本ですが、支払いローンの返済を早く済ませたいなら、住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談することをおすすめします。

家づくりのご相談は“ロゴスホーム”へ

大きな買い物だからこそ、住宅ローンを利用して住まいを購入する人が大半です。とはいえ、住宅ローンと言っても金利タイプや返済方法などはさまざまなので、疑問や不安を抱く人も少なくないはず。

もしも住宅ローンについてお悩みなら、ロゴスホームにご相談ください。

ロゴスホームでは、経験豊富なスタッフが住宅ローンに関する疑問に丁寧にお答えします。また、ロゴスホームが提供する住まいは、家計にも優しい省エネ設計です。家づくりは、北海道住宅着工数No.1のロゴスホームにお任せください。

まとめ

夫婦共働きで家を買う場合、夫婦の収入を合算した「債務保証」や「連帯保証」として融資を受けたり、ペアローンとして実質的な合算金額をベースに融資を受けたりすることが可能です。そのため、夫婦のどちらかが単独で融資を受けることに比べ、より高い金額の融資を受けられることになるでしょう。

一方で、出産・育児による収入が減ったり、転職や退職の可能性、昇進や昇給により収入が増加したりと、将来的に収入が変動する可能性もあります。夫婦どちらかが働けなくなった際には、住宅ローンの返済が大きな負担になるでしょう。こうしたリスクを理解したうえで、無理のない返済計画を立ててみてください。