持ち家っていくらするの?将来持ち家が欲しい人に知っておいて欲しいこと

「持ち家っていくらするの?」にお答えします。
持ち家を購入するためには、家自体の購入費用の他にも、不動産仲介手数料や登録免許税などの諸費用がかかります。また、家を購入した後の維持費も忘れてはいけません。
年収に対して住宅ローンの返済がギリギリになりそうな場合には、予算から逆算して家を買う方法もあります。

持ち家の平均購入費用

住宅金融支援機構が公表している「2021年 フラット35利用者調査」から、土地付き注文住宅と建売住宅、それぞれの平均購入費用を見てみましょう。

  • 全国平均
    土地付き注文住宅:4455万円
    建売住宅:3605万円
  • 首都圏の平均
    土地付き注文住宅:5133万円
    建売住宅:4133万円
  • 近畿圏の平均
    土地付き注文住宅:4658万円
    建売住宅:3578万円
  • 東海圏の平均
    土地付き注文住宅:4379万円
    建売住宅:3139万円
  • その他の地域の平均
    土地付き注文住宅:3980万円
    建売住宅:2905万円

土地付き注文住宅の費用の中には、土地の購入代も含まれます。また、建売住宅は土地とセットでの販売となるため、こちらにも土地の購入代が含まれています。
土地の購入代が含まれる以上、地域によって持ち家の平均購入費用が大きく異なることは避けられません。首都圏の持ち家の平均購入費用は高い傾向がありますが、その主な要因は土地の購入代が高いことにもあります。

※参照:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査

購入費用の内訳

持ち家を購入する際にかかる費用について、大きな目安では次の通りになります。

  • 土地付き注文住宅/購入費用+購入費用の10~12%
  • 所有済みの土地に建てる注文住宅/購入費用+購入費用の3~6%
  • 建売住宅/購入費用+購入費用の6~9%

上記「購入費用の○%」とは、不動産仲介手数料や登録免許税などの諸費用の合計額です。
持ち家の平均購入費用はすでにご紹介済みなので、以下では諸費用の内訳や金額の目安について確認してみましょう。

持ち家の購入時に掛かる諸費用の内訳と金額の目安

家自体の購入に掛かる主な諸費用

  • 不動産仲介手数料/物件価格×3%+6万円+消費税
    持ち家の購入の際にお世話になった不動産会社に支払う手数料です。
  • 印紙税/1万~3万円程度
    不動産売買契約書や工事請負契約書に貼付する収入印紙代です。
  • 不動産取得税/0円~固定資産税評価額の3%
    不動産を購入する際に課される税金です。
  • 登録免許税/固定資産税評価額の0.1~2%
    購入した不動産を登記する際に課される税金です。
  • 司法書士報酬/10万円前後
    不動産登記手続きを司法書士に依頼した際に支払う報酬です。

住宅ローンの利用に関連する主な諸費用

  • 印紙税/2万~4万円
    金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙代です。
  • 登録免許税/融資額の0.1~0.4%
    購入した不動産の抵当権設定登記する際に課される税金です。
  • 司法書士報酬/4万~8万円ほど
    抵当権設定登記を司法書士に依頼した際に支払う報酬です。
  • ローン手数料/3万~5万円ほど
    住宅ローンを契約する金融機関へ支払う手数料です。
  • ローン保証料/融資額の0.5~2%ほど
    住宅ローンの契約に際して保証会社へ支払う保証料です。
  • 物件調査費用/6万~8万円ほど
    フラット35などを利用する際、物件が融資基準を満たしているかどうかの調査にかかる費用です。

平均的な持ち家を購入するために必要な年収

「平均的な持ち家を購入するために必要な年収」とは、言い換えれば、「住宅ローンを返済しながら無理のない生活を送れる年収」ということ。一般的に、住宅ローンの返済負担率が年収の25%程度であれば、概ね無理のない生活を送れると言われています。
以下、土地付き注文住宅と建売住宅に分け、住宅ローン返済負担率25%から逆算して必要な年収を算出してみましょう。なお、借り入れ条件は以下の通りとします。

  • 返済期間:35年
  • 頭金:なし
  • 金利条件:全期間固定金利1.5%

土地付き注文住宅の購入に必要な年収

住宅金融支援機構「2021年 フラット35利用者調査」によると、土地付き注文住宅の全国平均購入費用は4455万円(※)。仮に上記の条件で住宅ローンを契約した場合、月々の返済金額は13万6,405円になります。
「月々の返済金額13万6,405円×12か月分」が年収の25%に収まるよう計算すると、必要な年収は次のように算出されます。

3万6,405円×12か月÷25%=約655万円

建売住宅の購入に必要な年収

建売住宅の全国平均購入費用は3605万円(※)。仮に上の条件で住宅ローンを契約すると、月々の返済額は11万379円になります。
返済負担率が年収の25%になるよう計算すると、必要な年収は次の通りになります。

11万379円×12か月÷25%=約530万円

頭金の入金により必要な年収は変わる

平均的な土地付き注文住宅の購入に必要な年収は約655万円、平均的な建売住宅の購入に必要な年収は約530万円と算出されました。
ただし、これらの計算はあくまでも「頭金なし」で住宅ローンを契約した場合の話。一般的には一定額の頭金を入金する形となるため、必ずしもここで算出されたほどの年収が必要となるわけではありません。

※参照:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査

予算から逆算して持ち家を買う発想もあり

平均的な持ち家の購入費用や必要な年収をご覧いただいて、「とてもウチには無理」と感じた方がいるかもしれません。
しかしながら、ご紹介した例はあくまでも平均です。もし予算や年収が不足している場合には、予算や年収に合わせた持ち家を選ぶという方法もあります。最近では1000万円台、2000万円台で購入できるローコスト注文住宅も増えてきました。ローコスト注文住宅なら、土地代を加えても持ち家を購入できるかもしれません。

1000万円台で購入できる注文住宅のイメージ

外観や内装のデザインをシンプルにし高級素材なども極力使用しなければ、1000万円台の注文住宅は十分に実現します。
例えば、長方形・正方形などのシンプルな外観で、1階と2階の面積が同じ箱型の2階建。屋根はシンプルな切妻屋根や片流れ屋根の住宅、などです。
内装もシンプルなデザインとなりますが、逆にシンプルだからこそ様々なテイストの家具等にマッチさせやすい点はメリット。カーテンや絨毯、ソファーカバーなどの柄を変えるだけでも、屋内の印象は一変します。
形も間取りもシンプルなので、工期が短期間で済むことも魅力です。

2000万円台で購入できる注文住宅のイメージ

1000万円台の注文住宅に比べ、2000万円台の注文住宅では様々な希望を盛り込むことができます。
ただし、外観と内装のすべてを希望通りにすることは難しく、外観デザインやリビング、キッチンなどの部分的なグレードアップを図る形となるでしょう。
比較的予算に余裕があることから、様々な希望を盛り込みすぎて予算オーバーになりがちな価格帯でもあります。別途で購入する家財の予算も考慮の上、家そのものに欲を出し過ぎないよう要注意です。

持ち家を買った後は維持費が掛かる

持ち家の購入後は、住宅ローンの返済とは別に住宅の維持費がかかります。家の場所や大きさにもよりますが、一戸建ての年間維持費は40万円ほど。維持費の内訳や金額の目安を確認しておきましょう。

固定資産税

固定資産税とは、土地や建物などの不動産を所有している場合に課される地方税です。税額の計算式は「固定資産税評価額×1.4%」。固定資産税評価額は、各自治体の定めによって決まります。
具体的な税額は、自治体(市区町村)から送付される「課税明細書」で確認が可能。1年分を一括、または1年分を4回に分割して納税します。

都市計画税

都市計画税とは、自治体が「市街化区域」と定めたエリアに不動産を所有している場合に課される地方税です。税額の計算式は「固定資産税評価額×0.3%」。もちろん、所有する土地・建物が市街化区域に属していない場合には、都市計画税は課税されません。
固定資産税と同様、1年分を一括、または1年分を4回に分割して納税します。

修繕費

一般的に、新築一戸建てを購入してから数年間は修繕の必要も生じないと思われますが、築10年を過ぎたあたりから部分的な修繕が必要となるケースもあります。
主な修繕の項目は、外壁や屋根の塗装、水回りの修理、フローリングの張替えなど。修繕とは異なりますが、お子様の成長に応じてリフォームの必要が生じることもあります。
なお、一戸建ての維持に掛かる修繕費の総額は600~1000万円ほど(所有期間による。特に外壁・屋根の塗装は高額になるケースがあるため、月々一定額を修繕費として積立ておくようおすすめします。

火災保険料・地震保険料

万が一の火災や地震の被害に備え、大半の一戸建て世帯では火災保険に加入しています。また、近い将来に予想されている大地震に備え、地震保険に加入する世帯も増えてきました。
保険料は、契約する保険商品の種類や建物の構造等によって大きく異なります。詳細は保険会社にお問い合わせください(5年間で15~20万円程度が目安)。
なお、地震保険は、火災保険に加入している世帯のみが契約できる特約のような位置づけの保険なので、地震保険に入りたい場合には火災保険とセットで契約する必要があります。

【まとめ】世帯の現状に即した持ち家をイメージしましょう

持ち家の平均購入費用や必要な年収、予算から逆算した持ち家、持ち家を購入後の維持費などについて解説しました。

当記事でご紹介した内容は、あくまでも平均的な例に過ぎません。仮に年収面では足りていなくても、今の預貯金の金額次第では住宅ローンの融資額を減らせる可能性があるため、無理なく持ち家を購入できることもあります。
それぞれの世帯の現状に即し、無理のない返済額を想定した上で、少しでも理想に近い持ち家の実現を描いていきましょう。