返済期間35年の住宅ローンを組んで30歳で家を買うと、ローンを完済できる年齢が65歳。還暦を過ぎ、一般的な会社では定年退職を迎える前後となります。35歳で住宅ローンを組めば、完済できる年齢は70歳です。
そのように考えると、「30代で家を建てるのは遅い?」と感じてしまうかもしれませんが、決して遅くはありません。実際、家を建てるもっとも多い年代は30代です。
家を建てる年代の平均データ、30代で家を建てる人が多い理由、30代で家を建てるメリット・注意点などについて解説します。
30代で家を買う人は特に多い
住宅金融支援機構が公表している「2021年度 フラット35利用者調査」を参考に、住宅を購入した年代分布を物件種別で見てみましょう。
注文住宅
- 20代…9.2%
- 30代…32.3%
- 40代…24.6%
- 50代…16.4%
- 60代以上…17.5%
土地付き注文住宅
- 20代…18.9%
- 30代…43.8%
- 40代…23.0%
- 50代…8.7%
- 60代以上…5.6%
建売住宅
- 20代…15.7%
- 30代…37.7%
- 40代…27.1%
- 50代…12.3%
- 60代以上…7.2%
マンション
- 20代…11.1%
- 30代…31.5%
- 40代…25.7%
- 50代…18.5%
- 60代以上…13.2%
中古戸建て
- 20代…10.7%
- 30代…29.6%
- 40代…31.6%
- 50代…19.2%
- 60代以上…8.9%
中古マンション
- 20代…9.2%
- 30代…28.5%
- 40代…31.6%
- 50代…20.9%
- 60代以上…9.8%
ご覧いただいてわかる通り、新築物件(注文住宅・土地付き注文住宅・建売住宅・新築マンション)のすべての種別において、30代がもっとも多い比率となっています。中古物件(中古戸建て・中古マンション)でも、もっとも多い40代の比率に30代の比率が肉薄しています。
データの出典によって数値には違いがあるものの、どのデータにおいても、30代の住宅購入比率は高め。なぜ住宅購入者は30代に多いのでしょうか?
※参考:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査
30代で家を買う人が多い理由
30代で家を買う人が多いということは、多くの30代に家を買うきっかけが訪れた、ということにもなるでしょう。
30代が家を買う主なきっかけを4点ほどご紹介します。
家族構成が確定するため
家、特に一戸建てを買う人の多くは既婚者ですが、30代の既婚者の場合、すでに子供がいて家族構成が確定している場合が少なくありません。
家族構成が確定していれば将来の生活シーンをイメージしやすいので、将来的に子供の部屋となる個室を設けたり、家族でバーベキューをやる庭やデッキを設けたりなど、家の設計がしやすくなります。
子供が入園・入学するため
子供のいる世帯の場合、両親が30代なら子供は幼稚園、小学校、中学校へ入園・入学するタイミングかもしれません。
入園・入学すれば、「子供を転校させたくない」と思うのが親の人情。戸建てを構えて腰を据えるきっかけにもなるでしょう。
まとまった頭金が貯まっているため
ある程度の頭金がたまったら家を買いたいと考え、20代からコツコツと貯蓄をしてきた方は、30代に入ってある程度の頭金が貯まっていることでしょう。
30代で目標の頭金に達したことをきっかけに、家を買う人もいるようです。
賃貸にお金を払うのがもったいないと感じ始める年齢のため
新卒で就職してすぐに家を買う人は、ほとんどいません。実家から離れた場所に住んでいる多くの人は、就職してから当面の間は賃貸物件で暮らしていることでしょう。
ある程度の期間に渡り賃貸物件に住んでいると、ふと「家賃を払う感覚で住宅ローンを払えば自分の家が手に入るのでは?」と思うようになるもの。そのタイミングが30代に訪れる例も多いようです。
30代で家を買うメリット
30代で家を買う主なメリットを見てみましょう。
家族構成が確定しているので家の設計がしやすい
先に説明した通り、30代の世帯は家族構成が確定していることが多いため、家の設計がしやすいというメリットがあります。
定年退職までに住宅ローンを返済できる可能性がある
30代であれば、住宅ローンの返済期間をやや短くすることで、定年退職までに住宅ローンを完済できる可能性があります。
現役中に住宅ローンを完済すれば、退職金も年金もすべて生活費に回せるため、老後は余裕のある生活を送れるでしょう。
住宅ローンの審査に合格しやすい
比較的若く、かつ20代よりもしっかりとした収入を確保しているという理由で、30代は住宅ローンの審査に合格しやすい年齢と言われています。
年齢は、住宅ローンの審査結果を左右する非常に大事な項目です。
団体信用生命保険に加入しやすい
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中、契約者に万が一のことがあった場合に、残債を代わって支払ってもらえる生命保険のこと。多くの金融機関では、住宅ローンの契約条件として団体信用生命保険の加入を条件としています。
若いほど加入しやすいと言われていますが、健康な30代なら問題なく団体信用生命保険に加入できるでしょう。
【まとめ】迷っている間に40代を迎えないよう早めに相談を
家を買うもっとも多い世代は30代。買うべきかどうか迷っている間に40代を迎えないよう、マイホームに関心のある方は早めに建築会社や不動産会社などに相談してみてください。