耐震住宅とは?メリット・デメリットについて解説

日本は地震が多い国であり、家を建てる際には地震対策が重要になります。

本記事では、耐震住宅の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、地震対策を検討している方に役立つ情報をお届けします。

これから家を建てる、または家の購入を考えている方にとって、知っておくべき重要なポイントをまとめています。

耐震住宅とは?

耐震住宅とは、大きな地震の揺れに耐えるように設計された住宅の総称です。ただし、「耐震住宅」という言葉には法的に定められた明確な定義はありません。

一般的には、1981年に改正された建築基準法の「新耐震基準」を満たした住宅を指します。

この基準により、震度5程度の地震でほとんど損傷せず、震度6〜7の地震でも倒壊しない性能が求められます。

また、新耐震基準は1995年の阪神・淡路大震災や2000年の建築基準法の改正を経て、より厳格な耐震基準が設定されています​​​​。

耐震等級について

耐震等級とは、建物の耐震性能を示す指標であり、地震に対する建物の強度を評価した数値で1から3まであり、数字が大きいほど耐震性能が高いことになります。

この等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいています。家を建てる際や購入する際に、耐震等級を確認することで、地震に強い家かどうかを判断できます。

耐震等級耐震性能の基準耐震性能の特徴
耐震等級1建築基準法に定められた最低基準極めて稀に発生する地震(震度6強から7相当)で倒壊・崩壊しない
耐震等級2耐震等級1の1.25倍の耐震性能学校や病院などの公共施設に求められる基準
耐震等級3耐震等級1の1.5倍の耐震性能警察署や消防署など、災害時に重要な役割を果たす建物に適用される

耐震等級については、「耐震等級とは?等級1・2・3の違いや注意点について解説」の記事をご確認ください。

参照元:国土交通省・住宅性能表示制度 かんたんガイド

耐震・免震・制震の違い

耐震・免震・制震は、地震対策の異なる方法です。

それぞれの特徴とメリットを理解することが重要です。

耐震

耐震は建物自体の強度を高めて地震の揺れに耐える方法です。

地盤改良や杭打ちなどの方法で建物の基礎部分を強化し、揺れに対して倒壊しないように設計されます。

耐震、制震、免震の中では、耐震のほうがコストが低い傾向にあるため、一戸建ての住宅では耐震が採用されることが多いです。

免震

免震は、建物と地盤の間に免震装置を設置し、地震の揺れを直接建物に伝えないようにする方法です。

地震のエネルギーを吸収し建物への影響を大幅に軽減します。これにより、大地震でも建物の揺れが小さくなり、家具の転倒も防げます。

また、建築コストが高くなる傾向があり、高層ビル、自治体庁舎、医療機関、タワーマンションなどで採用されています。

制震

制震構造は、建物内部に特殊な装置を設置して地震の揺れを効果的に吸収し、建物の変形や損傷を防ぎます。

高層ビルから一般住宅まで幅広く適用可能で、既存建物にも後付けできる柔軟性が特徴です。

耐震構造と併用することでより高い地震対策の効果を得られますが、制震に利用する装置の定期的な点検や維持管理が必要です。

耐震住宅のメリット

耐震住宅の最大のメリットは、地震に対する強い耐性です。

さらに、耐震住宅には費用面での優位性や補助金制度、保険の割引などの多くのメリットがあります。

費用を抑えて地震対策が可能

耐震住宅は、制震や免震に比べてコストを抑えやすいのが特徴です。

標準的な建築費用に耐震性能を組み込むことで、追加の費用を抑えることができます。

そのため、費用を抑えつつ地震に強い住宅を実現することが可能です。

耐震等級2以上で税金の控除など優遇措置が受けられる可能性がある

耐震等級2以上の住宅を建てると、さまざまな優遇措置を受けられる可能性があります。

具体的には、住宅ローン減税の拡大、固定資産税の減額、不動産取得税や登録免許税の軽減などが挙げられます。

さらに、長期優良住宅の認定を受けると、最大100万円の補助金を得られる「子育てエコホーム支援事業」の対象にもなります。

これらの制度を活用することで、高い耐震性能を持つ住宅の建設コストを軽減しつつ安全性の高い住まいを実現できます。

ただし、制度の詳細は年度や地域によって異なるため、最新情報の確認が重要です。

参照元:子育てエコホーム支援事業について – 国土交通省

耐震等級が高い場合、地震保険の割引対象になる

耐震等級が高い住宅は、地震保険の割引対象となります。

耐震等級3の住宅では、最大50%の保険料割引となるため、とてもお得です。

毎年の保険料を大幅に節約でき、長期的な経済メリットを受けられます。

耐震住宅のデメリット

耐震住宅には地震に強い反面、いくつかのデメリットも存在します。

地震の揺れが建物に伝わる特性

耐震構造は建物自体の強度を高めて地震に耐える設計であり、揺れそのものを吸収または遮断するわけではありません。

そのため、地震時には建物内部で揺れを感じやすくなります。

室内安全対策の必要性

耐震住宅では地震の揺れが建物に伝わるため、家具の転倒や天井材の落下、ガラスの破損などの二次被害のリスクがあります。

これらを防ぐため、家具の固定や適切な配置など、室内安全対策が重要となります。

まとめ

耐震住宅について理解を深めることで、地震対策に有効な住宅選びが可能になります。

本記事では、耐震住宅の概要とそのメリット・デメリットについて説明しました。

以下に、要点をまとめます。

■耐震住宅とは
・耐震住宅とは、大きな地震の揺れに耐えるように設計された住宅の総称

■耐震等級
・建物の耐震性能を示す指標で、等級1から3まであります
・数字が大きいほど耐震性能が高いです

■耐震・免震・制震の違い
・耐震:建物自体の強度を高める方法
・免震:地盤と建物の間に免震装置を設置する方法
・制震:建物構造の内部に制震装置を取り付ける方法

■耐震住宅のメリット

・費用を抑えて地震対策が可能
・耐震等級2以上で税金の控除など優遇措置が受けられる
・耐震等級が高い場合、地震保険の割引対象になる

■耐震住宅のデメリット
・地震の揺れが建物に直接伝わりやすい
・揺れによる家具の転倒が起こりやすい

耐震住宅を選ぶ際には、これらのポイントを考慮し、自分に合った選択をすることが重要です。

しっかりとした地震対策を施した住宅で、安全性を高め、安心感のある暮らしをしましょう。