シングルマザーは家を買うことができる?購入の基礎知識や注意点を解説

シングルマザー世帯でも、住宅ローンを組んで家を買うことは十分に可能です。

ただし、すべてのシングルマザー世帯が家を買えるわけではないことも事実。問題は、今の状態のままで住宅ローンの審査に合格するかどうかです。

ここでは、シングルマザーと住宅ローンの関係を中心に解説しています。

シングルマザーと住宅ローンに関する基本的な知識

シングルマザーと住宅ローンの関係について、まずは押さえておきたい2つのポイントを確認しておきましょう。

シングルマザーであること自体は審査にほとんど影響しない

国土交通省住宅局が発表した資料(※)では、金融機関が「融資を行う際に考慮する項目」として、金融機関から回答率の高かった順番に次の項目を挙げています。

  • 完済時年齢…99.1%
  • 健康状態…98.2%
  • 担保評価…98.2%
  • 借入時年齢…97.8%
  • 年収…95.6%
  • 勤続年数…95.2%
  • 連帯保証人…95.0%
  • 返済負担率…92.2%

これら以外にも「考慮する項目」はいくつかありますが、「シングルマザー」という項目は存在しません。

あえて挙げるならば「家族構成」という項目がありますが、家族構成を考慮すると回答した金融機関は「24.5%」と、他の項目に比べて圧倒的に低い数値です。

これらの数値からも分かる通り、シングルマザーであること自体が住宅ローンの審査に影響することは、ほとんどないと考えて良いでしょう。

※参照:令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(令和5年3月31日訂正)|国土交通省住宅局

年収ごとに融資額の目安を把握しておく

シングルマザーであること自体が住宅ローンの審査に影響する可能性は低いと考えられますが、仮に審査に通ったとしても、実際に契約する融資の額には注意しましょう。

金融機関が提示する貸付限度額を満額で契約すると、返済に苦労する可能性があるからです。

一般的に、返済負担率(収入に対する返済の比率)が25%以内であれば、無理のない返済が可能と言われています。

以下、手取り年収ごとに返済負担率25%となる借入額の目安を見てみましょう。

  • 年収100万円…680万円
  • 年収150万円…1020万円
  • 年収200万円…1360万円
  • 年収250万円…1701万円
  • 年収300万円…2041万円
  • 年収350万円…2381万円
  • 年収400万円…2721万円

※計算条件
・返済方法:元利均等
・当初金利:1.5%
・返済期間:35年
・返済負担率:25%
・連帯債務者:なし

手取り年収300万円前後があれば、土地付き注文住宅を新築で購入することも、決して無理ではありません。

また、手取り年収が低い場合でも、空き家バンクなどを利用すれば中古戸建を購入できる可能性があります。

シングルマザーが住宅ローンを申し込む際に考えるべきこと

シングルマザーが住宅ローンを申し込むにあたり、事前に考えておくべき重要な2点を確認しておきましょう。

返済負担率をどの程度にするか?

上で「返済負担率」についてご紹介しました。手取り年収に対する返済の比率が返済負担率です。

返済負担率の目安は各世帯により異なりますが、一般的に、余裕を持って返済するためには返済負担率を25%以下に抑えることが理想とされています。

高くても35%までに抑えておいたほうが良いでしょう。

頭金を入れるかどうか?入れるならいくらか?

頭金を入れても入れなくても、住宅ローンを契約することは可能です。

ある程度の預貯金をお持ちならば一部を頭金として設定できるのが理想ですが、緊急時の支出に備えているお金ならば、無理に頭金を入れる必要はありません。

なお、頭金の金額に基準はありませんが、一般的には物件購入価格の1~2割ほどと言われています。頭金を入れる際の参考にしてみてください。

住宅ローンの審査に通りやすいシングルマザーのタイプ

以下でご紹介するタイプの方は、シングルマザーであっても、住宅ローンの審査に通りやすい傾向があります。

もちろん、以下の条件に該当していなくても住宅ローンを借りられる可能性は十分にあるので、諦めずに金融機関へ相談してみましょう。

正社員や公務員

シングルマザーであっても、比較的大きな会社や歴史ある会社の正社員、または公務員ならば、住宅ローンの審査に通る可能性は高いでしょう。

将来的な安定収入が見込めるため、十分に返済できる可能性があるからです。

一方で、パートやアルバイト、契約社員、派遣社員などの非正規雇用者の場合、正社員・正職員に比べて住宅ローンの審査では不利になる可能性もあります。

ただし、非正規雇用者であっても、勤続年数が長く安定的な収入を得ている方ならば、審査に合格する可能性は十分にあります。

勤続年数が長い

同じ職場への勤続年数が長ければ長いほど、住宅ローンの審査に通りやすくなる傾向があります。

勤続年数の長い職場は今後も辞めない可能性が高く、継続的な安定収入(=継続的な返済)が予想できるからです。

住宅ローンの審査で有利になる勤続年数の基準は「3年」と言われることもありますが、金融機関の中には住宅ローンの申込条件として「勤続1年」と設定しているところも少なくありません。

年齢が若く健康状態に問題ない

年齢が若くて健康状態に問題のない方なら、将来的に長く安定収入を確保できる(=安定的に返済できる)可能性が高いため、住宅ローンの審査に通りやすくなると言われています。

なお、健康状態に問題はなくても年齢がやや高い場合、若い人に比べると病気になるリスクが高い分、審査が不利になることもあります。

【まとめ】シングルマザーでも十分に家を買える可能性がある

当記事の前半でご紹介しましたが、シングルマザーであること自体が住宅ローンの審査に大きく影響することはありません。

金融機関が重視しているのは、一言でいえば「ローンを完済できる見込み」です。

この点さえアピールできるなら、シングルマザーでも十分に住宅ローンを借りられる可能性があるでしょう。

なお、自治体の中には、シングルマザーが家を買う際に利用できる優遇制度を用意しているところもあります。

それらの制度も広く活用しながら、お子様と一緒に夢のマイホーム購入を目指していきましょう。