家を買う年齢は、何歳までが限界なのでしょうか?
多くの人は住宅ローンを組んで家を買うため、家を買う限界は「住宅ローンが契約できる年齢まで」と考えるかもしれません。
住宅ローンが契約できる年齢は金融機関により異なりますが、一般的には70歳頃まで。ということは、家を買う限界年齢は70歳と考えて良いのでしょうか?
国土交通省住宅局や住宅金融支援機構が公表しているデータも参考にしながら、何歳までに家を買うべきかについて考察してみましょう。
【結論】何歳で買っても良い
結論から言うと、家は何歳で買っても構いません。
住宅ローンの契約には年齢上限が設定されていますが、潤沢な自己資金があるならば(住宅ローンを組む必要がないならば)、80歳でも90歳でも家を建てられます。
逆に未成年者でも、親権者が売買に同意するか、または親権者が法定代理人となれば、家を買うことができます。
ただし、一般的には住宅ローンを組んで家を買う形となるため、完済時年齢から逆算して適切な年齢までに家を買うことが理想です。
実際には何歳で借りている人が多いのか
実際には何歳で家を買う人が多いのでしょうか?
国土交通省住宅局と住宅金融支援機構が公表しているデータを参考に、物件種別ごとの購入平均年齢、および購入年齢の分布を見てみましょう。
物件種別ごとの購入平均年齢・年齢分布
注文住宅
- 購入平均年齢…44.0歳(新築注文住宅)
- 20代…9.2%
- 30代…32.3%
- 40代…24.6%
- 50代…16.4%
- 60代以上…17.5%
土地付き注文住宅
- 購入平均年齢…44.0歳(新築注文住宅)
- 20代…18.9%
- 30代…43.8%
- 40代…23.0%
- 50代…8.7%
- 60代以上…5.6%
建売住宅
- 購入平均年齢…38.4歳
- 20代…15.7%
- 30代…37.7%
- 40代…27.1%
- 50代…12.3%
- 60代以上…7.2%
新築マンション
- 購入平均年齢…44.3歳
- 20代…11.1%
- 30代…31.5%
- 40代…25.7%
- 50代…18.5%
- 60代以上…13.2%
中古戸建て
- 20代…10.7%
- 30代…29.6%
- 40代…31.6%
- 50代…19.2%
- 60代以上…8.9%
中古マンション
- 購入平均年齢…46.4歳
- 20代…9.2%
- 30代…28.5%
- 40代…31.6%
- 50代…20.9%
- 60代以上…9.8%
新築物件(注文住宅・土地付き注文住宅・建売住宅・新築マンション)の購入年齢は30代後半から40代前半が多く、中古物件(中古戸建て・中古マンション)の購入年齢は40代半ばが多い結果となっています。
※参考:国土交通省住宅局|令和3年度 住宅市場動向調査報告書
※参考:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査
多くの銀行では「20歳以降70歳未満」が住宅ローン契約の条件
大半の金融機関では、主力商品の1つとして住宅ローンを用意していますが、住宅ローンはすべての人が申し込めるわけではありません。一定の条件をクリアした人のみが申し込める商品となります。
申込みの条件は金融機関により異なりますが、年齢条件として「20歳以上70歳未満」までに申込みを行い「80歳まで」に完済する、と設定しているのが一般的。住宅ローンの標準的な指標とされる住宅金融支援機構のフラット35でも、年齢条件は同様となります。(親子リレー返済の場合を除く)。
契約時の年齢よりも完済時年齢が大事なポイント
仮に、申込み年齢が「20歳以上70歳未満」で完済時年齢が「80歳まで」と設定している金融機関に対し、69歳の方が80歳で完済する計画で住宅ローンを申し込んだとしても、必ずしも審査に合格するとは限りません。なぜならば、金融機関の審査では、完済時年齢が非常に重視されるからです。
住宅ローンの審査で最も重視されるのが「完済時年齢」
国土交通省住宅局が公表している「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」を確認すると、金融機関が住宅ローンの審査を行う際に完済時年齢をとくに重視していることが分かります。
データによれば、住宅ローンの審査において考慮する項目として、アンケートに回答した金融機関のうち99.1%が完済時年齢を選択。ほかにも、年収や勤続年数、健康状態など多くの審査項目がありますが、もっとも高い数値が完済時年齢の99.1%でした。
端的に結論を言えば、年配者よりも若い人のほうが住宅ローンの審査に合格しやすい、ということになるでしょう。
※参考:国土交通省住宅局|令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
65歳までに完済できるのが理想
金融機関の審査を別にしても、住宅ローンを組む際には、早めに完済できるよう計画することが理想です。
定年退職後の主な収入源は年金。ご存じの通り、年金の金額は現役時代の収入に比べて激減します。
退職金も生活費として少しずつ取り崩していく形になるのが一般的なので、大事な退職金の多くを住宅ローンの返済に充てるわけにはいきません。
近年、多くの企業では65歳を定年退職年齢としています。住宅ローンを組む年齢が何歳であろうとも、可能であれば現役として働く65歳までに完済できることが理想でしょう。
【年齢別】住宅ローンを組む時の注意点
住宅ローンを組む時の注意点を年齢別で確認しておきましょう。
20代で住宅ローンを組む場合
住宅ローンを組む年齢としては理想的ですが、まだ収入が低く勤続年数が短いため、ローンの上限金額が低めに設定されます。
理想的なマイホームを実現するため、上限額いっぱいで契約したいと考えるかもしれませんが、借り過ぎると返済が厳しくなり生活が圧迫される恐れもあるのでご注意ください。
今後発生するであろう教育資金等の出費も考慮し、無理のない借り入れ金額に抑えたほうが良いでしょう。
30代で住宅ローンを組む場合
仮に35歳で35年返済の住宅ローンを組んだ場合、完済時年齢は70歳と、やや遅くなります。
年収が上がり続ける年代でもあることも考慮し、月々の返済金額を無理のない程度に上げ、返済期間を短くするよう検討してみてください。
40代で住宅ローンを組む場合
仮に45歳で35年返済の住宅ローンを組んだ場合、完済時年齢は80歳とギリギリになります。
80歳近くになると、収入は年金のみとなっている可能性が高いので、あまり長い返済期間を設定するのはおすすめしません。
40代なら一定の貯蓄もあると考えられるため、頭金を多めに入れるなどして借り入れ金額を減らし、返済期間を短くするよう計画してみてください。
50代以降に住宅ローンを組む場合
50代以降に住宅ローンを組む場合、年金生活でも無理なく返済できる少額の設定にすることをおすすめします。また、介護や病気などで思わぬ出費が生じる可能性もあるので、なるべく短期間で返済できる契約にしましょう。
自分で借り入れ金額や返済期間を決められない場合には、専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】「何歳までに借りるか?」ではなく「何歳までに完済するか?」で判断を
お金さえあれば、家を買う年齢は何歳でも構いません。ただし、一般的には住宅ローンを組んで家を買うことになるため、住宅ローンを軸に家を買う年齢を考える人が大半でしょう。
データによると、住宅ローンの平均的な契約年齢は30代から40代。しかしながら、年齢分布を見れば50代、60代でも住宅ローンを組んでいると思われる方も少なくありません。
「何歳までに借りるか?」ではなく「何歳までに完済するか?」という発想を持ち、ご自身の収入や貯蓄に照らして適切な年齢を検討してみると良いでしょう。