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LCCM住宅とは?
LCCM(エルシーシーエム)とは「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス」の略。
建設→運用(居住)→廃棄という家のライフサイクルにおいて排出されるCO2(二酸化炭素)の収支がマイナスになる住宅のことです。
省CO2のための様々な工夫をするのはもちろん、太陽光発電などの再生可能エネルギーを創出する設備も必要になります。
地球温暖化(気候変動)は世界的に問題となっており、2015年国際会議(COP21)では2020年以降の気候変動に関する国際枠組として「パリ協定」が採択されました。
パリ協定は、産業革命以前の気温を基準に世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える努力をすることを世界共通の目標として掲げています。
それを受け、日本は2020年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」と脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。
カーボンニュートラルとは、排出された温室効果ガスを吸収除去し、排出量と吸収量を相殺してゼロにしようという考え方です。
LCCM住宅やZEH・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)などの住宅は、2050年のカーボンニュートラルを実現するための住宅分野での取組で、政府が普及を推進しています。
LCCM住宅とZEHの違い
LCCM住宅と関連度の高い住宅としてZEH(ゼッチ)があります。
ZEHとは、「net Zero Energy House(ネット ゼロ エネルギー ハウス)」の略です。
外壁に高断熱の素材を使ったり省エネルギー設備を設置してエネルギーの消費を減らすと同時に太陽光発電等を取り入れ、年間のエネルギー消費量と創出量がゼロまたはマイナスになる住宅のことです。
LCCM住宅とZEHのコンセプトは似ていますが、まずその削減対象が異なります。
LCCM住宅では「CO2排出量」をマイナスに、一方のZEHは「エネルギー消費量」をゼロ以下にすることが基準です。
普段の暮らしの中で電気やガスは日常的に使われますが、発電のためには石油・石炭を、調理や湯沸かしなどではガスを燃やす必要があり、それによって温室効果ガスである二酸化炭素が発生してしまいます。
ZEHでは省エネ設備で暮らしに必要な電気・ガスを節約しつつ太陽光発電による再生可能エネルギーを作ってそれを消費することで、結果的に二酸化炭素の排出を抑えられるのです。
「では、LCCM住宅とZEHは結局同じなの?」と思われるかもしれませんが、もうひとつの違いは削減の対象期間。
ZEHではあくまでその家を使っている(住んでいる)間のエネルギー消費の収支ゼロ以下を目指します。
一方、LCCMは家の建設から解体までのライフサイクルすべての過程においてCO2排出の削減を目指しています。
ZEHよりもLCCM住宅のほうが求められる性能や基準が高く、ZEHを超える次のステップの環境に配慮した住宅として普及が進められているのです。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
LCCM住宅の認定基準とは
LCCM住宅に認定されるためには、どのような要件を満たさなければいけないのでしょうか。
LCCM住宅の認定は一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)が行っており、新築の一戸建て専用住宅、竣工後(新築後)3年以内の一戸建て専用住宅に限られます。
専用住宅とは、店舗や事務所ではない住居専用の住宅のことです。
LCCM住宅の認定基準は「LCCM適合判定ルート」「CASBEE認証ルート」の2種類があります。
LCCM適合判定ルート
CASBEE-戸建(新築)に基づく「LCCM住宅部門の基本要件(LCCO2)適合判定ツール」で評価され、適合したらLCCM住宅と認定されます。
Excelで作られた判定シートに様々な数値などを入力する形で評価する方法です。
※CASBEE(キャスビー)とは建築環境総合性能評価システム、または評価するツールのこと。
CASBEE認証ルート
CASBEEは、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用など環境に関する側面を考慮した建築物の品質をS(素晴らしい)・A・B+・B-・C(劣る)の5段階のランキングで評価するシステム。
CASBEEの戸建評価認証制度に基づき認証された「環境効率ランク」がSまたはAであり、かつライフサイクルCO2ランクが☆☆☆☆☆(5つ星)の住宅が認証されます。
一般的な戸建住宅のライフサイクルCO2排出量を100とし、それに対してどの程度排出量を抑えることができるか(=排出率)評価したものがCO2ランクの☆になります。 ☆☆☆☆☆(5つ星)というのは一般的な戸建住宅に対して排出率が0%以下で、これは一般よりも規模の大きい太陽光発電を導入して達成できるレベルとなっています。
ライフサイクルCO2(LCCO2)とは、建築物が竣工してから運用(居住)して廃棄するまでの間に使われた資材やエネルギーをCO2に換算して合計したもの。
環境負荷の小さな資機材でより効果的な性能や価値を生み出せれば、高い評価につながります。
※参照:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター「LCCM住宅認定」
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
LCCM住宅のメリット
快適・健康に暮らせる
ZEH同様、LCCM住宅も断熱性能が高い外壁材やサッシを利用して建築することで断熱性や気密性を高めているため、外気温の影響を受けにくく室温を一定に保ちやすくなっています。
身体にストレスを与える急激な気温変化の中でも特に冬場に起こりやすい「ヒートショック」は、脳内出血や心筋梗塞など深刻な疾患を発症するリスクになります。
建物内全体の温度差を小さくできるLCCM住宅ならヒートショックの予防になり、健康面でも安心です。
また、結露が起こりにくくなりカビの発生を防ぐことも可能。
木造住宅の場合、湿度の高さは家が傷む原因にもなるため、気密性や断熱性が高いと家が長持ちするというメリットもあります。
光熱費が安くなる
LCCM住宅は太陽光発電などによって自宅で再生可能エネルギーを創出できるため、光熱費を安く抑えることができます。
また、高断熱・高気密の家は夏や冬であっても外気温の影響を受けにくいので、冷暖房の使用機会を減らしたり適切な設定温度で運転させることができ、かかる光熱費を更に節約可能です。
補助金制度がある
LCCM住宅で利用できる補助金としては、「サステナブル建築物等先導事業」や「LCCM住宅整備推進事業」があります。
サステナブル建築物等先導事業による補助金
サステナブル建築物等先導事業は、住宅及び建築物の省エネ・省CO2実現性に優れたリーディングプロジェクトに対して補助する制度のこと。補助対象は省エネ・省CO2技術にかかる部分の2分の1で、建築工事費の5%が限度額になります。
LCCM住宅整備推進事業
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた最高レベルの脱炭素化住宅であるLCCM住宅の整備に対して補助される制度。補助費用は設計費・建築費のうち省エネ・省CO2技術にかかる部分の2分の1で、最高で140万円になります。
※参照:国土交通省「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について」(令和4年3月30日時点)
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
LCCM住宅のデメリット
初期費用が高くなりがち
LCCM住宅は高断熱・高気密を実現するために高品質の資機材を用います。
それに加えて省エネ性能が高い設備を用いたり太陽光発電などの宅内で発電できる設備を備えたりする必要があるため、一般的な住宅に比べて工事費が高くなりがちです。
間取りやデザインが制限される場合もある
LCCM住宅では太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出が必須となりますが、発電効率を高めるように太陽光パネルを設置しようとすると屋根の形状もある程度限定されます。
省エネ設備の設置スペースを確保するために、居住スペースに影響が出ることも。
たとえ注文住宅であっても、性能基準を満たすためには間取りやデザインなどが思い通りにならない可能性があります。
LCCM住宅に対応できるメーカーが少ない
LCCM住宅は近年作りはじめられた住宅であり、認定基準を満たすには高い技術力も求められるため、現状では対応できるハウスメーカーが多くありません。
検討している住宅メーカーやブランドがある場合は、対応しているか確認しておきましょう。
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建築から解体するまでの住宅のライフサイクル全般におけるCO2の排出をマイナスに抑える「LCCM住宅」は、環境に非常に優しくこれから更に注目が高まる住まい。
国もLCCM住宅の普及に積極的で、補助金制度などで後押しをしています。
しかし、基準を満たす高性能な家を作るには様々な工夫が必要で、施工会社にも一定の技術力が必要です。
札幌の注文住宅会社・ロゴスホームは、北海道の厳しい寒さでも快適に生活できる住宅を適正な価格で提供しています。
そのうちの1つである「Hikaria(ヒカリア)」は、太陽光パネルやヒートポンプ式冷暖房などの省エネ設備を標準装備。
北海道における平均的な年間光熱費と比較して年間146,500円節約できたという結果も出ています。
環境とお財布、どちらにも優しい住宅をお探しの方は、ぜひチェックしてみてください。
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