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注文住宅の印象を決める!ファサードの役割と重要性
ファサードとは
ファサードとは、建物を正面から見た外観を指す言葉です。語源はフランス語の「facade」から来ており、その建物の印象を決定づける「建物の顔」ともいうべき役割があります。
ファサードは、建築様式や時代・用途によって異なるデザインや装飾が施されてきました。例えば、古典的な建築ではコリント式の柱や装飾的な彫刻が見られ、近代建築ではガラスや鉄骨などの素材が用いられるのが一般的です。
ファサードは外観イメージを決定づけるだけでなく、内側の建物環境を保護する役割も持っています。外壁・内壁に機能性を有する素材を使用することで、建物内の環境を向上させることができるのです。デザイン性をもたせた窓の配置は採光だけでなく、効率的な換気機能を生み出してシックハウス症候群の軽減にも有効。考え抜かれたファサードは、見た目以上に有用な建造物です。
その家だけでなく周囲の町並みにも少なからず影響を与えるファサードは、周囲との調和が大切なポイント。住宅街に突如全面ガラス張りの家が建てられた場合、異質な素材感が周囲に受け入れられない可能性があります。日の角度によっては反射光が他家に差し込み、住環境に悪影響を与えかねません。デザイン性や性能だけでなく、植栽や門柱・アプローチなども含めた周囲の住環境を意識したうえで選択する必要があります。
ファサードの種類
ファサードにはクラシカルファサード・モダンファサード・ガラスファサード・グリーンファサードの4種類があり、それぞれにさまざまな特徴があります。
クラシカルファサードは歴史の深い建物に多く見られるスタイルのファサードです。昔ながらのデザインや古典的な建築様式が特徴的で、歴史的建造物が多い地域や景観法・都市計画に基づいて街並みを整備しているエリアによく見られます。
モダンファサードは、シンプルですっきりしたデザインが特徴のひとつ。直線的なデザインやシンボルになる物を飾る・外壁で囲むといった、アーティスティックな仕様が魅力的です。
ガラスファサードは、その名前の通りガラスを外壁に用いたファサードのこと。全面もしくは壁一面にガラスを使用して透明感と開放感を演出し、太陽光のきらめきで明るい印象を与えます。
グリーンファサードは、植物を取り入れてデザインされたもの。樹木を植えたり壁面に植物を這わせたりなどナチュラル感を演出するのに向いているファサードで、「環境にやさしい」をテーマにした建物で採用されるケースが多くなっています。
注文住宅におけるファサードの役割
個性を表現する
ファサードのデザイン次第で、家のオリジナリティを引き出せます。高級感を出したいなら石張りにしたり、透明感・開放感のある雰囲気にしたいならガラスを使ったりなど、さまざまな工夫でその家を個性的に演出可能。家主の好みや人となりまでを反映できるのがファサードなのです。
建物を保護する
断熱性や遮音性の高い建材をファサードに使用すれば、内側にある家本体の断熱性・遮音性の向上も可能です。スマートガラスを使用したファサードなら、日の光の入り方を調節して断熱性能が上がります。グリーンファサードのように壁面に植物を這わせて、夏の暑い日差しを遮るグリーンカーテンとして使うのもよいでしょう。
現代的なファサードとしては、家を取り囲むように壁を建てるスタイルがあります。頑丈な壁が要塞のようにそびえ立ち、文字通り建物を保護する役割を持つデザインです。
防犯性を高める
ファサード周辺は、道路や通路といった人が行き来する場所。照明を設置すれば暗い時間帯でも明るい照明が出迎えてくれます。人感センサー付きの照明なら、真夜中でも動きに反応して周囲を明るくするので泥棒避けになるほか、往来する人の安全にも寄与するでしょう。
ファサードはなぜ重要?
建物の象徴ともいえるファサードは、そのエリアの文化的・歴史的価値を高めるための重要な要素となりえるもの。地域によってはファサードの色やテイストまでを景観法によって決めているところがあります。
代表的なのが京都で、市街地を中心に多くの場所が景観地区に指定されています。基本的に和風のファサードをもった家を建てなければならず、最近人気のモダンな家は建てられません。このルールを守ることで、京都の美しい街並みが維持されているのです。
川沿いのレトロモダンな雰囲気が有名な岡山県倉敷市も、景観法に基づく美観地区です。このエリアは商家の町並みを大切にしており、本瓦葺塗屋造りのほか電柱の地中化や行灯型看板の撤去など、昔ながらの町並み再現に尽力しています。
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注文住宅のファサードを美しく見せるポイント
周辺環境とマッチさせる
ファサードを美しく見せるためには、自分の家だけでなく周辺環境と馴染ませる点も意識しなければなりません。いくら個性を表現するものだとしても、周囲から浮いたデザインになると悪目立ちするだけです。
建物が密集している地域なら、まずは家の周りの建物がどのようなデザインのものが多いかを観察するところからはじめてみましょう。
住宅デザインと統一感をもたせる
家の個性を表すファサードは、建物との統一感を大切に考えましょう。特に角地に建つ家は道路に面した壁がすべてファサードになりえるので、玄関だけを意識して側面をおざなりにするとちぐはぐな印象を与えてしまいます。
境界線を示すフェンスやブロック塀もファサードの一部。ウッドフェンスで圧迫感を軽減したり植栽を目隠しに使ったりと、住宅デザインとマッチするファサードにすることで注文住宅がさらに魅力的になります。
外壁や屋根の素材・色にこだわる
外壁や屋根の素材・色は、ファサードの第一印象を決めるのに重要な部分です。自然素材の色を生かしたまま使うか、モノトーンのような無機質な色を選ぶかでも印象はまったく変わってきます。
屋根のデザインも重要な要素。瓦なのかガルバリウム鋼板なのか、切妻屋根にするのか片流れ屋根にするのかなど、選択肢は多種多様。ファサードの印象は組み合わせ方によって無限大に広がります。オリジナリティを追求できる部分なので、素材・色選びにはこだわりましょう。
バランスと対称性にこだわる
ファサードを美しく見せたいなら、組み合わせのバランスがポイント。家の壁面はシンプルにまとめたにも関わらず玄関周りや門扉・フェンスなどを派手な装飾にすると、家と外構とのバランスが悪くなります。
家づくりでは先に家のデザインを決めてから外構の計画に入るのが一般的ですが、家を囲む外構を後付けで考えると、ファサードとのバランスを崩しかねないので注意が必要です。
家のバランスを考えるなら、対称性(シンメトリー)も意識しましょう。ある軸を中心にして左右の外壁を2色使いでペイントしたり窓の位置を工夫したりと、個性を表現するファサードが単調にならないように工夫するのもおすすめです。
窓のデザインにこだわる
窓の形や位置も、ファサードの印象を大きく変えられます。大きな窓を取り入れれば、建物内部にたっぷりと太陽の光が降り注ぎ外観にも明るい印象を与えます。反対に小さいサイズの窓をバラバラの高さに配置すればリズム感のある外観を作り出せるなど、デザイン次第でさまざまに演出できるでしょう。
あえて窓のないファサードにも人気が集まっていて、スタイリッシュですっきりとした外観が魅力的。開口部が少なくなるので家の断熱性能も上げられます。冷暖房効率が良くなり電気代の節約も可能。外部からの視線も気にならず防犯対策にもなるなど、メリットもたくさんあります。
照明にこだわる
ファサードを美しく見せるなら、照明にもこだわりたいところ。暗い夜でも幻想的に演出してくれる照明を取り入れると、夜間に招くお客様にも素敵な第一印象を持ってもらえます。ただし、色使いに関しては注意が必要。ほんのり桜色を表現したつもりが妙に艶めかしくなったり、複数の色を使うと派手になったりするため、ここでも周囲との調和を意識するようにしましょう。
ライトは地面に設置してファサードを照らすのが主流。鋭角なスポットライトで壁面に直線を描いたり植栽に光をあてて影を演出したりと、夜だからこそできる個性の表現方法を考えてみましょう。
勝手口やカーポート・玄関周りには人感センサー付きの照明が便利。夜間に帰ってきた人の足元を効率的に照らしてくれるので転倒の心配がなく、何より明るい光で安心できます。
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