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現代の住宅では洋風の間取りが主流になっており、和室のない家も多くなりました。
そんな中、くつろぎの場として秀逸である和室は、子育て中の若い世帯を中心にその良さが見直されつつあります。そこで今回の記事では、和室の基本的な知識やメリット・デメリットを解説します。
おしゃれな和室コーディネートのポイントについてもご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
和室とは何か?
「和室」とは日本の伝統的な様式の部屋を指し、床には畳が敷き詰められ、建具に襖や障子が用いられた空間です。
現在に伝わる和室の形式は、鎌倉時代から室町時代にかけてつくられたといわれています。
和室には3つのタイプがあり、「真」「草」「行」に分類されます。
- ・「真」・・・書院造の様式で、格調高い和室
・「草」・・・数寄屋(茶室)の様式で、自由度の高い遊び心のある和室
・「行」・・・真(書院造)と草(数寄屋)の間で、堅苦しくなく落ち着きのある空間
現代では、洋室の要素を加えてモダンに仕上げた「和モダン」なスタイルなど、多様なデザイン性を取り入れた和室が増えています。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
和室を構成するもの
和室はさまざまな要素(部材)で構成されており、その数は多岐に渡ります。ここでは、代表的な5つについて解説します。
ここでは、代表的な5つについて解説します。
①床の間(とこのま)
上座側の床を一段高くした場所を「床の間」と呼びます。和室の顔ともいわれ、掛け軸を掛けたり、置物や生け花を飾ったりするスペースです。
格式ある正式な和室では、「床の間」「違い棚」「書院(付け書院)」の3つで構成されていますが、最近では違い棚や書院を省いたものも多くあります。
②長押(なげし)
和室の柱と柱を水平につなぐ部材を「長押」といいます。本来は構造材でしたが、工法の変化によって装飾材となりました。
③鴨居(かもい)
開口部の上部にある横材を「鴨居」といいます。襖や障子などの建具を建て込むための部材です。
④敷居(しきい)
開口部の下端にある横材を「敷居」といいます。上部の鴨居とセットになっており、溝に襖や障子をスライドさせて開閉します。
⑤欄間(らんま)
和室と和室、和室と縁側の境の鴨居の上部に取り付けられている部材を「欄間」といいます。透かしなどの装飾が施されており、通風や採光を兼ねている板です。
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和室のメリット
汎用性が高い
和室の最大のメリットは、その汎用性の高さです。
座卓やこたつを置けば「居間」になりますし、布団を敷けば「寝室」として使えます。クッション性のある柔らかい素材なので、そのままごろんと横になって「昼寝スペース」として活用することも可能です。
他にも、下記のような使い方ができます。
- ・「ユーティリティーツーム」として、洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたりと、ちょっとした作業に使える作業部屋
・「ゲストルーム」として、親戚や友人が来訪した際の宿泊部屋
日本の狭い住宅事情において、用途に応じて多目的に使える和室は何かと便利な存在です。
吸湿性に優れた素材が使用されている
和室に使われている材料の多くは自然素材でつくられており、優れた吸湿性を有しています。
たとえば、藁(わら)とい草でできている「畳」は、湿度が高いときには湿気を吸収し、空気が乾燥しているときには湿気を放出。梅雨の時期や夏場は涼しく感じられ、冬場には足元の冷えを和らげてくれます。
また、畳以外でも、襖や障子に使われる「和紙」や、壁材に用いられる「珪藻土」「漆喰」も同じく調湿機能を持っています。
高温多湿な日本において、和室は最も快適に過ごせる場所といえるでしょう。さらに、畳は二酸化炭素やホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着する効果もあり、シックハウス症候群の発症リスクを軽減したい方におすすめの素材です。
防音効果に優れている
畳は比較的柔らかい素材でつくられているため、クッション性があり振動を吸収します。
フローリングに比べて足音が響きにくく、転倒しても怪我をしにくいのが利点です。また、畳表に使われている「い草」の繊維は断面がスポンジ状になっており、空気を多く含んでいます。
そのことから、室内の音を吸収する効果もあります。
畳にリラックス効果がある
畳に使われている「い草」には芳香成分があり、リラックス効果が期待できます。
これは科学的に証明されていることで、い草に含まれる「フィトンチッド」という成分に由来しています。フィトンチッドには、消臭効果や脱臭効果、さらに殺菌や防腐効果が含まれており、森林の樹木も有する物質です。
森林浴で清々しい気分になるのも、このフィトンチッドのお陰。他にも、畳には鎮静作用や不眠症に良いとされる成分が含まれているなど、高い癒し効果があります。
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和室のデメリット
デリケートで管理が大変
和室には自然素材がふんだんに使われているため、健康に良い反面、維持管理が大変というデメリットがあります。
特に畳は水分に弱く、カビやダニが発生しやすい床材です。
畳表に使われているい草はとてもデリケートな素材で、キズが付きやすく、重たい家具を置きっぱなしにしてしまうと傷んでしまいます。
さらに、い草の繊維による隙間が多く、フケや髪の毛、ペットの毛、埃などがたまりやすいのも、管理が大変な要因の一つといえるでしょう。
傷みやすい畳は、数年ごとにメンテナンスが必要です。
畳は芯材の「畳床」と、い草で織られた「畳表」、その外側の「畳縁」で構成されており、メンテナンスには次の3つの方法があります。
- 畳床から畳表を剥がして、裏面のキレイな部分を表にして張りなおす「裏返し」
- 畳床はそのままに、畳表のみを新調する「表替え」
- 畳そのものを新しいものに交換する「新調」
また、畳だけでなく、和紙でできている襖や障子も、数年ごとに張り替えるのが一般的です。
収納のデッドスペースがある
和室の押し入れは、布団などの寝具を収納できるように奥行きが深いのが特徴です。
奥行きが深すぎる収納はデッドスペースが生まれやすく、使い勝手が良いとはいえません。また、上段と下段に分れているので、扇風機などの季節家電を収納しにくいのも難点でしょう。
家具の大きさや配置に注意が必要
和室は壁を柱や梁の内側で仕上げる「真壁仕様」と、柱と梁の外側で仕上げる「大壁仕様」の2つに分かれます。
住宅の和室で多く採用されているのは「真壁仕様」です。この真壁仕様だと、壁面に柱や梁が出っ張ってくるため、配置する家具の大きさや形状に制限がかかってしまいます。
また、家具の重みは畳を痛めてしまう原因にもなります。和室のレイアウトには細心の注意を払いましょう。
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和室の掃除方法
和室に限らず、お部屋を掃除するときは「上から下」の順番が基本です。
電球のカサや家具の上から掃除を始め、最後に床(畳)をキレイにしましょう。また、和室には洋室とは違った掃除のコツがあります。
ここからは、和室の部材ごとの掃除のポイントをご紹介します。
畳の掃除
- ・畳は、目に沿って箒がけ&雑巾の乾拭き
・汚れが落ちにくい箇所は水拭き(雑巾を固く絞ってできるだけ少ない水分で拭く)
・天気の良い日を選び、早く乾くように配慮する
・掃除機を使う場合は、畳の目に沿って、継ぎ目の畳縁にぶつからないようにかける
・畳を長持ちさせるためには、エアコンなどの除湿機能も有効
柱や鴨居、長押、障子などの白木の掃除
- ・白木部分の掃除は、基本的に乾拭き
・汚れが気になるときは、固く絞った雑巾で水拭き
・頑固な汚れには、市販されている白木用の洗剤や漂白クリーナーを使用する - 砂壁や珪藻土、漆喰などの壁の掃除
- ・はたきやハンディモップをつかって埃を落とす(和室の壁は素材の特性上、水拭き不可)
- 和室のデリケートな素材を傷めないように、適切なお掃除を心がけましょう。
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和室の用途
客間として
親や親戚、友人が泊りに来た際に、和室はゲストルームとして使えます。
来訪直後は、ゆったりくつろいでもらうスペースとして。就寝時にはそのまま布団を敷けば、ゲスト用の寝室になります。
ごろんと横になれる和室は、宿泊する側としてもくつろぎやすく、安心できる空間です。和室が一つあれば、急な来客にも対応しやすく便利でしょう。
ただし、想定される来客数が少ない場合は、無理に和室をつくってしまうと居住スペースが犠牲になってしまうおそれもあります。
同居する親のために
将来的に親と同居する予定がある場合は、和室を親の居住スペースとして活用できます。
その際、親世帯と子世帯では生活習慣が異なるケースも多いため、お互いの生活音が気にならないような間取りの工夫が求められます。
- ・和室をリビングから少し離れた場所に設置する
・介護が必要になったときを想定して和室の近くにトイレを置く
その他に、親の荷物の量を把握して、必要な分だけの収納を確保することも大切です。
年に数回の来客のために、わざわざ和室を設ける必要があるのかどうか、家族の生活スタイルを含めて検討することが重要です。
子供の遊び場に
柔らかい素材の畳は、転んでも怪我をしにくく、小さなお子さんにとって安心できる床材です。
先述の通り、防音効果も高く、走り回る子どもの足音を軽減してくれます。おままごとや動く電車のレールなど、床に広げるタイプの遊び方には和室がぴったり。
キッチンやリビング・ダイニングに隣接している和室なら、親の目の届くところで子どもを遊ばせることができ、家事もしやすいですね。
作業スペースとして
洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたり……。適度に柔らかい畳敷きの和室は、座って作業をするのに適しています。
和室で作業をすれば、急な来客時に部屋が散らかっていても、襖を閉めて隠すことができます。また、和室を一時的な荷物の避難スペースとして活用することも可能です。
ただし、畳はキズ付きやすいので、重いものや大きなものを置くのは控えた方が良いでしょう。
気兼ねなくごろんと寝転べるのも嬉しいポイントです。
寝室用に
子どもが小さいうちは寝相も悪く、ベッドだと転落してしまう心配があります。
和室に布団を敷くスタイルであれば、寝ている間にどれだけ転がり回っても落下する危険がありません。
また、1階に和室を設けて寝室にすれば、一日の生活を1階のみで完結できるので、小さいお子さんを抱っこしながら階段を上り下りする必要もなく、安全に暮らせます。
年を重ねた後も階段を使わずに生活できれば、足腰に負担をかけずに済みます。
育児をする若い世代から、シニア世代まで、生活スタイルに合わせて調整できる空間が一つあれば、グンと暮らしやすくなるでしょう。
和の生活を楽しむ用に
畳の肌触りやい草の香りは、とても心地良いですよね。
和室には洋室では味わえない趣があり、「和の空間にいるだけでリラックスする」という方も多いはず。茶道や生け花、競技かるた、将棋、囲碁など、和室ならではの趣味をお持ちの方にとっても、和室のある家づくりは欠かせません。
単純に、和の生活を楽しむために和室をつくるのも、魅力的だと思いませんか?
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和室と洋室を上手く組み合わせる方法
リビングに隣接させて小上りの和室をつくる
「小上り」とは、リビングよりも一段高い場所に設けられたスペースのこと。
小上りを設けると、空間に立体感が出て奥行きが感じられます。
和室の座面が少し高い位置にあるので、ちょっとした腰かけスペースになったり、布団を敷いた際にベッドのような感覚で使用したりできます。
リビングからの埃やゴミが侵入しにくく、床面に近い場所で寝ることに抵抗がある方も受け入れやすい仕様です。一般的な段差の高さは20〜40cmほどですが、30〜40cmくらいにすれば立ったり座ったりする動作がしやすいでしょう。
最近では、畳のデザインもスタイリッシュなものが多く出回っているので、リビングとのバランスを考えながらコーディネートするのも楽しいですよ。
“ヌック”を畳スペースにする
「ヌック(Nook)」とは、スコットランド語のneuk(ヌーク)が語源の建築様式。
小ぢんまりとした、温かくて居心地の良い場所という意味があります。
ヌックは“おこもり感”がポイントなので、階段下や窓際など、小さなスペースを使って設置されるケースが多いのが特徴です。このヌックを和の仕様にすることで、畳の心地よい感触を味わえ、極上のくつろぎ空間を実現できます。
置き畳でフレキシブルに和の空間をつくる
もっとカジュアルに、和の空間をつくりたい方におすすめなのが「置き畳」です。
大掛かりなリフォームをしなくても、サッと取り出して並べるだけで気軽に和の空間を演出できます。置き畳に似たものに「琉球畳」があり、どちらも半畳タイプの正方形で畳縁がないデザインが特徴です。
一般的な置き畳と琉球畳の大きな違いは、その厚さ。
「システム畳」や「ユニット畳」と呼ばれる置き畳は、厚みが約13~15mmほどですが、琉球畳は一般的な敷き畳と同じく、厚みが55mm(もしくは60mm)です。
琉球畳を置き畳として使用すると、その厚みからかなりの存在感があるため、重厚な和空間を演出できます。
カジュアルな感じで、よりモダンな雰囲気に仕上げたい場合は、厚みの薄い一般的な置き畳を選ぶと良いでしょう。
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事例:「本格和室」を愉しむ平屋の家
ここからは、ロゴスホームで施工した「本格的な和室のある家」をご紹介します。
玄関の入口部分やリビングに縦格子を用いたり、ペンダントライトを網目状の和風なデザインにしたりと、全体的に和モダンな雰囲気に仕上げています。
畳縁に使う色味など、落ち着きのあるトーンでまとめられた「和」の空間からは、上質さが感じ取れます。
ダークカラーでまとめられた広々とした玄関に障子の白木が映えており、際立つ美しさが印象的です。
この家の詳細は、こちらをご覧ください▶「本格和室」を愉しむ平屋の家 ~JAPANESE STYLE
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和室にあう家具選び
日本人は古くから、座卓で食事をとり、床に布団を敷いて眠る「低座」の生活スタイルを基本としてきました。
そのため、和室には背の低い家具がよく馴染みます。
座椅子やちゃぶ台など、「いかにも和風」な家具も良いですが、あえて洋風の家具を置いて「和モダン」に仕上げた空間も素敵です。
和モダンスタイルには、スウェーデンの有名家具デザイナー、ブルーノ・マットソンの「Mシリーズ」がとてもよく似合います。
最高傑作といわれている「マルガリータ」は、ブルーノ・マットソンが日本の生活様式を研究し、畳の部屋で使ってもキズがつきにくいようデザインされたソファです。
木部は北欧家具でよく使われているブナ(ビーチ)材が用いられており、白くきめ細かな木肌が特徴。
使い込むほどにだんだんと飴色に変わっていき、経年美化の過程も楽しめます。
和室のメリットの章でもご紹介しましたが、和の空間には竹や無垢材、藤、和紙などの自然素材が多く用いられています。
照明を選ぶ際にも、自然素材にこだわってみてはいかがでしょうか?
おすすめなのが、日系アメリカ人アーティスト、イサム・ノグチがデザインした「AKARI」シリーズです。
AKARIは、岐阜県の伝統工芸品「岐阜提灯」の技法が用いられており、ペンダントライトやテーブルスタンド、フロアスタンドなど、さまざまなラインナップが揃っています。
竹ひごに和紙を張ったシェードは、やさしい光がお部屋を印象的に照らし、居心地の良い和室を演出。
AKARIシリーズの中でも、竹ひごが不規則に巻かれた「45D」は、そのアンバランスさが独特な美しさを生み出しており、心地良さを追求した和の空間にぴったりのデザインです。
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高性能な家づくりならロゴスホーム
おしゃれな和室をご検討中の方は、ぜひ実績のあるロゴスホームにご相談ください。
こだわり1:高品質であること
寒暖差が激しく地震も多い、日本で一番自然環境の厳しい地域といわれている十勝において「快適に過ごせる家」をつくることは特別な意味を持ちます。
- ・高耐震で丈夫な2×6工法
・高気密、高断熱
・地震に強いベタ基礎工法
・長期優良住宅に対応可能
・下請け工務店を介さない直接施工
ロゴスホームの高品質な住宅性能は、これらのこだわりから成り立っています。
こだわり2:適正価格であること
ロゴスホームでは、値引きは一切いたしません。
適正価格でご提供しているからこそ、あえて大きめの金額を提示して後から「値引き」をするような不誠実なご提案の仕方はしていません。
すべてのお客様に、価格を抑えて良いものをご提供できるよう、透明性の高い料金システムでの家づくりに取り組んでいます。
こだわり3:パートナーであること
専門性の高い部門別のスタッフによる「チーム制」を導入し、各分野の専属スタッフが高いプロ意識をもって、より良いご提案にベストを尽くしています。
また、定期的なアフターメンテナンスをはじめ、お引き渡し後もお客様とのつながりを大切に「幸せな暮らし」を一緒につくるパートナーを目指しています。
お問い合わせはこちらからどうぞ▶ロゴスホーム
失敗したくない方へ
知りたかったたった
1つのこと
手に入れる方法
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
まとめ
和室は、生活スタイルやアイデア次第でさまざまな使い道があり、ポテンシャルの高い空間です。
洋室には真似できない独特の趣も、和室の醍醐味といえるでしょう。畳は日本独自の文化で世界中どこを探しても類がないといわれています。
デリケートな素材を多く用いられた和室は、メンテナンスが大変なのが難点ですが、丁寧に扱ってあげることで、これ以上ない癒しを与えてくれます。
家づくりの際は、ぜひ和室を検討されてみてはいかがでしょうか?
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