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これから注文住宅を建てる方で「LAN配線」を重要視する方は少ないのではないでしょうか。
しかし、LAN配線が考慮されていないと、引越してから「Wi-Fiが部屋まで届かない」「オンライン会議ができないほど回線が遅い」などインターネットのトラブルを引き起こすかもしれません。
インターネットをスムーズに使うためのLAN配線工事は、本体工事の完了と同時に終わるのが理想的です。
そこで、この記事ではLAN配線の種類や選び方、配置する際に知っておくべきポイントや注意点などを紹介します。
これから注文住宅を検討する方はぜひ参考にしてください。
注文住宅においてLANを配線・構築する流れ
1.LANポートを配置する部屋を決める
LANポートはLANケーブルの差込口なので、有線LANだけでなく無線LANのためのモデムやルーターを繋げるために必須での設備。リビング・ダイニング・子ども部屋・作業スペースなど、インターネットを使用する頻度が高い部屋への設置がおすすめです。
LANポートを増やすには工事が必要になるため、現状は利用頻度が少ないと思われる部屋であっても将来的な利用を見越してLANポートの設置可否を決めるようにしましょう。
2.ルーターや家具の設置場所を決める
ルーターと家具の設置場所を決めておかなければ、部屋のどこにLANポートを設置するのかも決められません。
「一旦はここで良いだろう」と適当に決めたものの、後になって家具を設置した際にちょうどLANポートが隠れる位置になってしまうと配置箇所を考え直すしかありません。
特に大きなタンスなどは気軽に移動できないため、最初に大きな家具類の配置場所を決めておくと失敗のリスクが減らせます。
無線LANの場合は棚や壁のような障害物により電波が届きにくくなりますので、インターネットの接続環境の品質を良くするためにもルーターの置き場所を事前に決めておきましょう。
3.インターネット回線導入の工事
光回線の場合、回線の導入工事は家の近くにある電柱から建物の中へ光ケーブルを引き込みます。
工事では、壁に穴を開けて引き込む方法や電話線の配管やエアコンのダクトを通す方法を取ることが一般的。
注文住宅を設計する際に各種の配線や配管と一緒に設計に盛り込んでおくとよいでしょう。
すでに建っている家の場合は、どのような導入工事をするのか回線業者へ確認が必要です。
4.LAN配線の工事
インターネット回線の導入工事をした後は、モデムやルーターを配置する部屋まで壁の中に配管を通すLANの配線工事が行われます。
すでに住宅の壁の中に配管を通していればLAN配線の工事は簡単ですが、配管がない場合は室内の壁に沿う形で配線することもあります。
注文住宅を設計する際に設計担当者にモデムやルーターの配置場所を事前に伝え、壁の中にLANケーブル用の配管を作っておけば、スムーズに配線ができるでしょう。
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注文住宅におけるインターネットのおすすめな選び方
注文住宅のインターネットを引く方法は「ケーブルテレビ」「光ファイバー」「Wi-Fiルーター」の3種類があります。
それぞれの特徴を知り、自分にぴったりのインターネットを選びましょう。
他サービスとのセット割引を受けるなら「ケーブルテレビ」
ケーブルテレビとは、テレビ放送用のケーブルと、インターネット配線で使用する光ケーブルを組み合わせてインターネットに接続する方法を指します。
ケーブルテレビのインターネット回線は、通信が安定しやすく、セット割引が受けられるのが特徴です。
電波で接続する無線よりも、ケーブルで直接接続する有線の方が環境に左右されにくいため安定性に優れており、快適にインターネットを利用できます。
また、セット割引の他サービスにはテレビ・ガス・電気・格安スマートフォンなどがあり、セットで加入すると割引が適用されて、月々の費用を抑えられるでしょう。
ただし、通信速度の速さを求める方は、次の光ファイバーも検討してみてください。
通信速度の速さを求めるなら「光ファイバー」
光ファイバーとは、ガラスや高性能プラスチックなどで構成された光の伝送路であり、光信号でデータ通信を行っています。
光ファイバーを用いたインターネット(光回線)は、通信速度が速い、通信が安定している、データ通信容量に制限がないのが特徴です。
光信号はノイズや電磁波の影響を受けにくく、送信するときは光信号、受信するときは電気信号と相互に交換する仕組みによって、安定的で速い長距離伝送を実現しています。
光ファイバーのデータ通信容量は、契約している通信事業者の回線で通信できるデータの大きさを指し、光回線には基本的には制限がありません。
しかし、光ファイバーの回線を契約するには、回線事業者と契約してから別途工事が必要であり、工事費用の負担がかかるのがデメリットです。
また、他の光回線から乗り換える際には、違約金が発生するケースもあるので注意しましょう。
工事不要で即日利用したいなら「Wi-Fiルーター」
Wi-Fiルーターとは、携帯電話会社が提供するモバイル回線を使ってインターネットに接続する装置です。
Wi-Fiルーターには据え置き型のホームルーターと、持ち運びできるモバイルWi-Fiルーターの2種類があります。
ホームルーターは、家のコンセントに繋ぐだけで使用でき、ケーブルの開通工事が不要で申し込み後すぐに利用できる手軽さがメリットです。
モバイルWi-Fiルーターは外への持ち運びが可能であり、移動中や外出先でもインターネットの利用が可能です。
しかし、Wi-Fiルーターは直接ケーブルを繋ぐ固定回線と比べると電波の安定性が低く、速度制限や通信制限もあるので、オンライン会議では遅延が生じる可能性もあります。
オンライン会議を頻繁にする方には不便ですが、即日利用したい方にはメリットが多いでしょう。
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注文住宅で後悔しないためのLAN配線のポイント
注文住宅のLAN配線は自由に設計できるからこそ「どこに通したら良いのかわからない」と設置場所を迷われる方が多いです。
ここでは、設置後に後悔しない、LAN配線のポイントを紹介します。
これからLAN配線の設置を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
将来のライフスタイルも考慮して設置場所を決める
注文住宅の設計は完成直後の生活だけをイメージする方が多く、生活が変化していく将来設計を見落としがちです。
部屋の模様替えや家具・家電の変更、子どもが生まれるといった変化が訪れた際にLAN配線をやり直すのは時間や手間がかかり、簡単ではありません。
LAN配線はリビング・ダイニングだけでなく、オンライン授業やゲーム、テレワークなどが考えられる子ども部屋、ワークスペースへの設置も検討しましょう。
配線が見えないようにLANケーブルを設置する
他の場所がキレイに整っていたとしても、LANケーブルがむき出しの状態で視界に入ると部屋全体の印象も乱雑に見えてしまうものです。
家具の裏やカーペットの下に隠したり、ケーブルボックスで隠したりする方法もありますが、注文住宅の場合は配線の露出を避けた「隠ぺい配線(壁内配線)」を検討してみましょう。
隠ぺい配線(壁内配線)とは、壁内にケーブルを隠す方法です。
壁の中を経由してLANケーブルを配線するため、スッキリ見えるだけでなく、ごみや埃がたまりにくく掃除が楽になるといった利点があります。
住宅を建てる前に壁の中に空配管を通しておく
注文住宅の間取りを設計するタイミングで、ケーブル類を通せるように壁の中に「空配管」の設置をおすすめします。
空配管とは、新築住宅の壁や天井にあらかじめ通しておいた配管で、LANケーブルや電話線を簡単に配線できるようにするものを指します。
配管の中が空(から)であることから空配管と呼ばれています。
空配管が設置されていると、住み始めた後にLAN配線を通したい部屋ができたとしても、壁を壊さずに配線が可能です。
さらに、使用しているケーブルの通信速度に満足できなくなった場合も、新しいケーブルを容易に配線できる点もメリットと言えます。
LANケーブルに規格があることを理解しておく
LANケーブルに規格があると知らない方も多いのではないでしょうか。
高速通信の光回線を使っていても、Wi-Fiルーターやインターネットの使い方に合わせたLANケーブルを選ばないと、十分な速度を出せません。
LANケーブルは「カテゴリ」で分類され、通信速度や周波数の幅に規定があり、用途に応じた規格の製品を選択する必要があります。
カテゴリは「CAT(カテゴリ)」と表記され、数字が高いほど通信速度が速く、周波数の幅が広くなります。
米国規格協会(ANSI)が標準化した「ANSI/TIA-568」を日本語訳した日本産業規格(JIS)の日本工業規格「JIS X 5150」より、LANケーブルの規格を次の表にまとめました。
名称 | 表記 | 周波数 | 最大伝送速度 |
カテゴリ5e | CAT5e | 100MHzまで | 1Gbps |
カテゴリ6 | CAT6 | 250MHzまで | 1Gbps |
カテゴリ6A | CAT6A | 500MHzまで | 10Gbps |
カテゴリ7 | CAT7 | 600MHzまで | 10Gbps |
カテゴリ7A | CAT7A | 1000MHzまで | 10Gbps |
最新の10Gbpsの光回線にCAT5eのLANケーブルを使用した場合は、本来の性能が得られないため、CAT6A以上のケーブルが必要となります。
LAN配線の工事を進める前に、どの規格のLANケーブルを使用するのかを事前に確認しておきましょう。
参考:
JEITA電気情報技術産業協会「LAN配線に必要なJIS規格」PDF19ページ「JIS X 5150:2016」配線部材のカテゴリ表より
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注文住宅でLANの配置を決めるときの注意点
LANポートやWi-Fiルーターは、部屋のどこに置いても電波がしっかり飛ぶように作られていますが、家の一部分のみ電波にとって良くないとされる場所もあります。
電波と相性の悪い場所と、それぞれの注意点を以下にまとめました。
電波を発する家電の近くは避ける
電子レンジやテレビ、IHコンロ、Bluetooth機器など電波を発する家電の近くにLANポートやWi-Fiルーターの配置は避けた方が良いでしょう。
これらの家電製品は常に電波を発しているので、Wi-Fiルーターと電波干渉を起こして通信環境が不安定になるケースがあります。
特に電波の周波数帯が2.4GHzのWi-Fiルーターは、他の電波の影響を受けやすい傾向があるため、家電から離して設置するなどの配慮が必要です。
水回りには配置しない
水は電波が通過しにくい性質があり、お風呂場や洗面所、キッチンの流し、水槽の近くにLANの設置は向かないとされています。
水場の近くでは電波が弱まったり通信速度に影響が出たり、Wi-Fiルーターに水がかかったりすると故障や漏電を引き起こす可能性もあります。
また、キッチンではシンクに使用されているステンレス素材が電波干渉しやすいので、キッチンからは離れた場所に設置しましょう。
棚やケースの中など見えにくい場所を避ける
インテリアにマッチしにくいWi-Fiルーターは、隠したいからと棚やケースの中にしまう方も多いですが、Wi-Fiルーターの周りを囲うと電波が弱くなってしまいます。
特に、金属は電波を遮断する性質を持つため、鉄やアルミ素材の収納ケースは避け、ルーター専用ボックスなどに入れて見えやすい場所に配置しましょう。
また、Wi-Fiルーターの床への直置きも、電波環境を悪くさせます。
床面は電波が透過・反射して減衰する恐れがあるのです。
部屋全体にWi-Fiを効率よく届けるには、床から1〜2m離れた場所にWi-Fiルーターを設置するのが最適です。
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快適なインターネット環境の構築のためにも、LANポートの設置は熟慮が必要です。
計画が不十分だとLANポートが不足したり、大きな家具や家電の配置次第では設置したLANポートを上手く活用できなくなったりする可能性も。
家を建てた後でも配線工事自体は可能ですが、手間やコストがかかるためおすすめできません。
設計段階からLANポートや配線の計画を立てて担当者と相談し、準備をするようにしましょう。
弊社ロゴスホームでは、設計士やインテリアコーディネーターをはじめとした高いプロ意識を持ったスタッフが多数在籍しています。
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注文住宅を検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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知りたかったたった
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まとめ
注文住宅の設計段階で見落としがちなLAN配線の流れや注意点について解説しました。
新居に引越してから「インターネットが使えない」「インターネットが遅延しやすい」といったトラブルを起こさないためにも、設計段階でLANケーブルの配線について考慮が必要です。
注文住宅のLAN配線は、前述したポイントと注意点を参考にしつつ、10年後20年後の先を見据えて設置し、家族が快適に過ごせるネットワーク環境を作りましょう。