住まいを選ぶ際、快適さや省エネ性能を重視される方は多いのではないでしょうか。そこで注目したいのが、住宅の気密性能を示す「C値(隙間相当面積)」です。C値について深く理解すると、夏は涼しく、冬は暖かい、一年を通して快適な住まいを実現できます。
本記事では、C値の基本的な意味合いから、その計算方法や住宅性能に及ぼす影響、快適な住環境との密接な関係まで詳しく解説していきます。これから家づくりを検討される方や、住まい探しをされている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
C値とは?
C値は、住宅の気密性を表す指標です。気密性とは、建物の中にあまり空気が出入りしない状態を指したものです。
気密性の高い家は、窓や壁、床などの隙間が少なく、外気と室内の空気が混ざり合うのも少なくなります。
また、C値が高い家は次のようなメリットが得られます。
● 冷暖房効率の向上
● 結露の防止
● 光熱費の節約
● アレルギー物質の侵入抑制
● 音漏れの軽減 など
C値が高い家は隙間が少なく外気が侵入しにくいため、室温が安定しやすく連暖房効率が向上します。これにより、光熱費の節約も大きく期待できるでしょう。
また、室内の温かな空気が窓や壁に接触しにくくなるため、結露も発生しにくいです。
カビやダニの発生を防いだり、ハウスダストや花粉などの侵入を防いだりできるぶん、健康面でもメリットがあります。
外からの騒音や室内の音が外に漏れるのを防げる点も、住環境の快適性につながります。
C値(隙間相当面積)とは?意味と特性
C値は“隙間相当面積”と呼ばれる指標であり、読んで字のごとく“建物の容積に対してどれほど隙間の総量が存在するか”を示しているものです。建物全体の隙間の合計面積を、建物の床面積で割った値で表します。単位はcm2/m2で示され、“建物の床面積1平方メートルあたりに、どれくらいの隙間が存在するか”を表すのが特徴です。そしてC値が小さいほど、建物に対する隙間の総量が少ないことを表し、気密性が高くなります。
C値以外にも、家の性能を表す数値基準にはUA値やQ値、ZEHなどが存在します。工務店やハウスメーカーでも、このような数値基準について説明を受ける場面も多いでしょう。
一方、C値については国の基準にないため、工務店やハウスメーカーによっては重要視しない会社もあります。
本当に、C値は意味のないものなのでしょうか?
仮にUA値が高いだけ(=断熱性が高いだけ)の家を建てたとしましょう。
高断熱は、外の冷気や熱気が家の中に侵入するのを防ぐ効果があります。しかし、隙間が多いと冬の冷たい風、夏の熱気が家の中に入りやすくなるため、意味がありません。
服装に例えると、高断熱はざっくり編みのセーター、高気密はウィンドブレーカーです。セーターは暖かいですが、網目から暖かさが逃げてしまいます。そのため、ウィンドブレーカーを羽織って暖かさを逃さないようにしなくてはなりません。
家の話に戻ると、高断熱だけを高めても断熱性能本来の効果は発揮できない、という意味になります。だからこそ、家のC値は意味があるものと言えるのではないでしょうか。
C値の計算方法と具体例
ここで、C値の計算方法と具体例についてご紹介しましょう。
C値は次の計算式で求めます。
C値(cm²/m²)= 住宅全体の隙間面積の合計(cm²)÷ 延床面積(m²) |
・(例1)
40坪(延床面積132㎡)の住まいのC値が1.0の場合
⇨C値1.0cm²/㎡ ✕ 延床面積132㎡ = 隙間面積132㎡
・(例2)
40坪(延床面積132㎡)の住まいのC値が2.0の場合
⇨C値2.0cm²/㎡ ✕ 延床面積132㎡ = 隙間面積264㎡
上記の2つの例はどちらも同じ延床面積ですが、C値の差が1.0cm²/㎡あるだけで隙間面積に大きな開きが出ます。はがきに例えると、C値が1.0cm²/㎡ならはがき1枚ほどの隙間面積に、2.0cm²/㎡ならハガキ1.8枚相当の隙間面積です。
C値の測定は、専門の業者に依頼して気密測定器を用いて行います。測定結果に基づいて、必要に応じて隙間を埋めるなどの改善策が実施されます。
C値が住宅性能に与える影響と重要性
「C値とは?」でも触れていますが、ここでC値が住宅性能に与える影響について深堀りしていきましょう。
まずはC値と気密性能の関係についてです。C値が小さいと、住まいの隙間が少なく外気の影響を受けにくいため、気密性が高くなります。たとえば、C値が1.0cm²/㎡の住宅は、C値が5.0cm²/㎡の住宅に比べて、隙間の量が大幅に少なく、外気の侵入をより効果的に防ぎます。C値が小さいと、室内の湿気が外に逃げにくくなるため結露の発生を抑えられます。
ここで知っておきたいのが、気密性の高さが建物の耐久性につながるという点です。というのも、結露はカビの発生はもちろん木材の腐朽が進み、建物の構造を弱める原因になります。
C値が2.0cm²/㎡の住宅でたとえてみましょう。結露が頻繁に発生し、木材の含水率が20%を超える状態が続くと、腐朽菌が繁殖しやすくなり、10年後には構造材の強度が10%低下する可能性があります。一方、C値が0.5cm²/㎡の高気密住宅では、結露の発生が抑制されて木材の含水率を15%以下に保つので、長期にわたり高い耐久性を維持することが期待できます。
さらに、気密性が高い家は室内の湿度を適切に管理しやすく、木材の乾燥が促進されます。木材が乾燥すれば、シロアリなどによる害虫被害のリスクが減らせ、建物の耐久性が高くなるのです。
気密性が高いと聞けば、住まいの快適性(夏涼しく冬暖かい、など)をイメージする人も多いでしょう。しかし、実際には快適性だけでなく建物自体の耐久性も向上する嬉しいメリットがあります。
たとえば、C値が3.0cm²/㎡の住宅では、冬場に暖房で室温を20℃に保とうとしても、隙間から冷気が侵入しやすく、体感温度は17℃程度まで下がってしまう場合があります。一方、C値が 0.8cm²/㎡の高気密住宅では、暖房効率が向上し、室温20℃を維持しやすく、体感温度もほぼ20℃に近い状態を保てます。
このように、気密性の高さは冷暖房効率を高め、室内の温度差を少なくすれば、一年を通して快適な住環境を実現します。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
C値の基準と目安
現在はC値の明確な法定基準がないため、高気密住宅と呼べる基準が今ひとつわかりにくいです。そこで、一般住宅と高気密住宅のC値の違い、また気密性能の違いについて表にまとめました。
C値 | 気密性能 | |
一般住宅 | 5.0~10cm²/m² | 低い |
高気密住宅 | 2.0cm²/m² | 高い |
超高気密住宅 | 0.5cm²/m² | 非常に高い |
一般住宅のC値平均値は、地域の気候条件(例:寒冷地・温暖地)や築年数によって大きく異なる傾向があります。たとえば寒冷地では気密性を重視するため、C値の低い住宅が多い一方、温暖な地域では必ずしも気密性が重視されていないケースもあります。また、築年数が古い住宅ほどC値が高く、気密性が低くなりがちです。
【新築住宅と既存住宅のC値比較】
C値の平均値 | 許容範囲 | |
新築住宅 | 5.0cm²/m² | 5.0~10.0 cm²/m |
既存住宅 | 10.0以上cm²/m² | ー |
新築住宅のC値は、技術の進歩により年々改善されており、平均値は5.0 cm²/m²程度、許容範囲は5.0~10.0 cm²/m²程度とされています。これは、近年の住宅が高性能な断熱材や気密性の高いサッシなどを使用しているからです。
一方、既存住宅は、建築当時の技術や設計思想によってC値がばらつき、平均値は10.0 cm²/m²以上となる場合も少なくありません。
高気密住宅に求められるC値の基準
高気密住宅のC値の目安は、一般的に1.0 cm²/m²以下とされています。
【各種基準における高気密住宅の推奨値】
C値の推奨値 | |
HEAT20 | 1.0cm²/m²以下 |
パッシブハウス | 0.2cm²/m²以下 |
HEAT20は、日本の住宅の断熱性能向上を目指す技術開発委員会で、省エネ性の高い住宅普及を目的に、外皮性能や暖房負荷性能の基準(G1~G3グレード)を提唱しています。
一方、パッシブハウスは、ドイツのパッシブハウス研究所が提唱する建築基準です。高い断熱・気密性能と熱交換換気システムなどにより、冷暖房エネルギー消費量を極限まで抑えるのが目標です。
【パッシブハウスの基準】
・冷暖房負荷…15kWh/m²以下
・一次エネルギー消費…120kWh/m²以下
・気密性能における漏気回数…50Paの加圧時に0.6回以下
いずれの住宅も、住宅の省エネ性能向上を目的とし、高断熱・高気密性能を重視して快適な室内環境とエネルギー消費削減を目指す点は共通しています。
地域や建築工法によるC値の違い
C値は、地域特性と建築工法の双方を考慮して決定することが重要です。
寒冷地では、厳しい冬の寒さを乗り越えるために、隙間を極力減らした高気密住宅が求められ、暖房効率を最大限に高めることがカギとなります。
一方、温暖地では夏季の高温多湿な環境に対応するため、ある程度の気密性を確保しつつ、風通しを良くして自然換気を有効に活用すれば快適な住まいづくりに繋がります。
建築工法別の気密性能の特徴は、以下の通りです。
・木造…気密性を確保しやすい
・鉄骨(S)造…気密性を確保するために工夫が必要
・鉄筋コンクリート(RC)造…比較的気密性が高い
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
C値が高気密住宅に与えるメリット
「C値が住宅性能に与える影響とは?」でも触れていますが、C値が高気密住宅に与えるメリットについて、以下にまとめました。
● 結露を防ぎ木材の腐朽やカビを防ぐ
● 空気の行き来を減らして室内の木材の寿命を縮めなくする
● 隙間が少なく害虫の侵入を防ぎやすい
このように、C値の低い高気密住宅は建物の寿命を延ばし、快適な住まいを長く保てます。
そしてC値が住環境と省エネ性能に与える影響について、以下にまとめました。
住環境に与える影響・メリット
● 快適な室内温度を保つ
● 結露の発生を防ぐ
● 音漏れを防ぐ
● 空気の汚れを防ぐ
省エネ性能への影響・メリット
● エネルギー使用量の削減
● 冷暖房費の削減
次に、C値がもたらす住環境と省エネ性能について、数値や具体例を用いながら解説していきます。
C値がもたらす快適な住環境と健康効果
C値と室内環境には、密接な関係があります。
高気密住宅は外気の影響を受ける機会が少ないため、室内の温度が均一に保ちやすく、家の中で冷え込みやすい場所や熱くなりやすい場所が少なくなります。
また、湿度も安定しやすいため、湿度の上昇で発生するカビやダニが発生しにくいです。これにより、快適性はもちろん健康にも良い暮らしを送れます。近畿大学の研究で、高気密住宅に引っ越した人を対象にアンケートを実施しました。アンケート結果によると、多くの人が咳やのどの傷み、アトピーなどの悩みが改善されていることがわかっています。これは、カビやダニといったアレルゲンの減少が影響していると考えられます。
さらに、外気にある花粉やホコリ、PM2.5などの侵入が少なく、室内の空気がきれいに保てます。一般的な住宅では、1時間に室内の空気の半分以上が外部の空気と入れ替わるのに対し、高気密住宅では計画換気システムによって換気回数が制御されます。フィルターを通して清浄化された空気が取り込まれると、花粉の室内への侵入量を削減し、花粉症による鼻炎や喘息などのアレルギー症状を軽減する効果が期待できるのです。
また、PM2.5の侵入も大幅に減らせ、呼吸器系疾患のリスク低減にも繋がります。建材から発生するホルムアルデヒドなどの化学物質が室内に拡散するのを抑えられ、空気の質が良くなるのです。
高気密住宅は、外部の騒音や花粉、PM2.5などの侵入を防ぎ、快適な室内環境を維持します。また、室内の温度差が少ないと、ヒートショックのリスクを低減し、健康的な生活を送れるのがポイントです。
さらに、高気密住宅はアレルギーの原因となるダニやカビの発生を抑制し、アレルギー症状の軽減に繋がるのも特徴です。健康面に不安を抱えている人にとって、C値の低い高気密住宅は快適な住環境といえるでしょう。
結露・カビ防止による住宅寿命の延長
C値が低い高気密住宅は、壁内部の結露を抑制し、カビの発生を防ぎます。これにより、木材の腐朽を防止し、住宅の耐久性向上が可能です。
結露は、住宅の構造体を腐らせる大きな原因にもなります。高気密住宅では、この結露のリスクを大幅に低減できるため、住宅の寿命を延ばせます。
ただし、これらは適切に換気されている場合に限るので注意が必要です。いくら気密性が高い住まいでも、掃除や換気を怠ればカビやダニが繁殖します。適切な換気やメンテナンスを行いましょう。
外部騒音カットと防塵・花粉対策
高気密住宅は、外部からの騒音を遮断するため、静かな室内環境を実現できます。一般的な住宅と比較して、30デシベル程度の騒音低減効果があるといわれているのもポイントです。道路に面している住宅、また繁華街が近い住宅にとって嬉しいメリットといえるでしょう。
そして、花粉やPM2.5などの侵入を防ぐので、アレルギー体質の方や呼吸器系の疾患を持つ方にとっても快適な住環境です。
計画的換気による室内空気質の向上
高気密住宅では、計画的な換気が重要となります。なぜなら、気密性が高い=自然な空気の入れ替えが起こりにくいという意味でもあるからです。だからこそ、24時間換気システムを導入し、室内の汚れた空気(CO2や水蒸気、化学物質など)を排出し、新鮮な空気を取り入れなくてはなりません。
換気システムには、
・第1種換気(機械給気・機械排気)
・第2種換気(機械給気・自然排気)
・第3種換気(自然給気・機械排気)
などがあります。これらの換気システムを適切に設計・設置し、常に空気を入れ替えれば、室内のCO2濃度や湿度の適切な管理が可能です。
一方、注意したい要素もあります。室内のCO2濃度が高すぎると、眠気や集中力の低下を引き起こす可能性があるという点です。
また、湿度が高すぎると、カビやダニが発生しやすくなり、アレルギーの原因となる可能性もあります。計画的換気によってこれらのリスクを低減し、健康的な室内環境を維持しましょう。
C値と省エネルギー効果の関係
高気密高断熱な住まいだと冷暖房費がいくら削減できるのか?想像つかない人も多いはずです。ここで鳥取県の省エネ住宅基準を参考に、冷暖房費の削減率を紹介しましょう。
まず、鳥取県ではZEHを超える水準として3段階の省エネ住宅基準を独自に定めています。3段階の内訳は以下のとおりです。
- T-G1:UA値0.48、C値1.0
- T-G2:UA値0.34、C値1.0
- T-G3:UA値0.23、C値1.0
C値については1.0平方cm/1平方mと共通していますが、UA値が段階的に小さくなるにつれ、T-G1なら約30%、T−G2なら約50%、T−G3なら約70%もの冷暖房費を削減できることがわかっています。
(参考:住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設|国土交通省)
「C値は関係ないのでは?」「UA値に限る話ではないのか?」と思うかもしれませんが、いくら断熱性が高くても気密性が高くなければ本来の断熱性能は発揮できません。C値が低いのはもちろん、UA値も同時に低くすることで冷暖房費も大きく削減できます。
地域別の省エネ効果の違いとして、寒冷地では暖房費の削減効果が顕著に現れる傾向が、温暖地では冷房費の削減効果が期待できるのがポイントです。
さらに、断熱性能と組み合わせると、さらなる省エネ効果が期待できるのもポイントです。たとえば、高断熱・高気密住宅では、一般的な住宅と比較して、冷暖房費を60%削減できるというデータもあります。
※参考:こんなに変わる電気代 | 断熱住宅.com
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C値とUA値の違いとは?断熱性能との関係性について
意味 | 数値が小さいほど | |
C値 | 気密性能 | 家全体の隙間が少ない |
UA値 | 断熱性能 | 家の中の熱が逃げにくい |
C値の定義は隙間相当面積ですが、UA値の定義は外皮平均熱貫流率であり、数値が小さいほど断熱性能が高いことを表しています。家全体がどれほど熱を通しやすいのか表したものがUA値です。
どちらも住宅性能を評価するうえで重要な指標であり、どちらか一方だけでなく、どちらもバランスよく数値を下げることで、快適で省エネな住まいを実現できます。
具体的には、家の中から外へ逃げていくあたたかさや涼しさの量を、家の外側の表面積(外皮面積)で表します。
住宅を選ぶ際、C値とUA値の両方を考慮すれば、より快適で省エネな住まいが実現可能です。たとえば、寒冷地では、UA値を重視して断熱性能を高めて、暖房費を抑えられます。さらに、C値を小さくして気密性を高めれば、隙間風を防ぎ、室温をより安定させられます。
UA値に関する詳細は、
当ブログの「UA値(外皮平均熱貫流率)とは?計算方法や気にすべき理由を解説」の記事をご覧ください。
C値とUA値の定義と計測対象の違い
C値(気密性)は、住宅全体の隙間の量を延床面積で割った値であり、この値が小さいほど、住宅の気密性が高いです。C値は、気密測定試験によって測定され、建物全体の隙間が評価対象となるのがポイントです。具体的には、壁、床、天井、開口部などの隙間を測定し、その総量を延床面積で割って算出します。
一方、UA値(外皮平均熱貫流率)は、住宅の内部から外部へ逃げる熱量を外皮面積で割った値であり、単位はW/m²Kで表されます。C値同様、この値が小さいほど、住宅の断熱性能が高いです。UA値は、建物の設計図面に基づいて計算され、外壁、屋根、床、窓などの部位ごとの熱伝導率と面積を考慮して算出されます。
ここでわかりやすく、C値とUA値の定義を「セーター(衣服)」に例えてみましょう。
セーターは体全体をあたためてくれます(断熱)が、網目が大きい(気密が低い)とあたたかさを感じません。いくら厚みのあるセーターでも、網目が大きければ意味がないのです。
断熱性(UA値)と気密性(C値)は、同じような意味に捉えがちですが、目的や定義は大きく異なります。
両方の数値が住宅性能評価に必要な理由
C値とUA値は、それぞれ異なる側面から住宅の性能を評価するため、両方の数値を総合的に判断しましょう。
まずは、エネルギ-効率について。C値が低いと、隙間からの空気の出入りが少なくなり、冷暖房効率がアップします。そしてUA値が低いと、建物内外の熱の移動が抑制され、冷暖房負荷が軽減されます。したがって、C値とUA値が共に低いほど、省エネルギー性能が高いと言えるのです。
次に、快適性。C値が高いと、隙間風によって室温が不均一になりやすく、不快感を感じることがあります。UA値が高いと、外気温の変化が室温に影響しやすく、室温を一定に保つのが難しくなります。C値とUA値が共に低いと、室温が安定しやすく、快適な室内環境が実現可能です。
そして、耐久性について。C値が低いと、壁内部での結露が発生しにくくなり、建物の耐久性が向上します。UA値が低いと、急激な温度変化による建材の劣化を抑制できるのです。
このように、C値とUA値は、相互に補完し合う関係にあり、どちらか一方だけでは住宅の性能を十分に評価できません。
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Q値との違いは?何が違う?どちらが重要?
意味 | 数値が小さいほど | |
C値 | 気密性能 | 家全体の隙間が少ない |
Q値 | 熱損失 | 家の中の熱が逃げにくい |
Q値の定義は熱損失係数で、建物全体から外部へ逃げる熱量を、延床面積で割った値です。単位はW/(m2・K)で示され、数値が小さいほど断熱性能が高く、熱が外に逃げにくいことを意味しています。たとえば、Q値が2.0W/(m2・K) の住宅と、Q値が1.0W/(m2・K) の住宅を比較した場合、後者の方がより少ないエネルギーで室温を維持できます。
Q値の数値が小さいほど家の中の熱が逃げにくい、というのはUA値に共通しているように見えますが、UA値が外皮面積(壁・天井・床・窓など)を基準に計算するのに対し、Q値は延床面積を基準に計算されるのが特徴です。同じ住宅でも、UA値とQ値は異なる数値になるケースがあります。
たとえば、同じ断熱材を使用している住宅でも、二階建てのシンプルな形状の家と、複雑な形状で開口部(窓など)の多い家では外皮面積に対する延床面積の比率が異なります。つまり、UA値が近い値でもQ値は異なる数値になるケースがあるのです。
C値(相当隙間面積)は、建物の隙間の大きさを床面積あたりの割合で示す指標であり、気密性能を表します。一方、Q値は建物全体の断熱性能を表す指標です。Q値は「どれだけ熱が逃げにくいか」を示すのに対し、C値は「どれだけ隙間がないか」を示すという違いがあります。
C値、UA値、Q値はそれぞれ異なる側面から住宅の性能を表す指標です。なかでもQ値は、住宅全体の断熱性能を創業的に評価する指標として利用される場面が多いでしょう。
熱損失係数Q値の基本的な意味
Q値(熱損失係数)とは、住宅全体から外部へ逃げていく熱の量を、床面積1平方メートルあたりで示した数値です。単位はW/m²Kで表され、数値が小さいほど、その住宅の断熱性能が高いです。Q値の計算では、壁や窓などの断熱性能だけでなく、換気によって失われる熱の量も考慮に入れられます。
C値(気密性)との関連性や違いが分かりにくいかもしれませんが、C値が住宅の隙間の総量を評価するのに対し、Q値は住宅全体の断熱性能を総合的に判断する指標です。たとえば、同じ断熱材を使って建てられた家でも、換気システムの種類や性能が異なれば、Q値は変わってきます。そのため、Q値は、住宅の省エネルギー性能を評価する上で、重要な役割を果たします。
性能表示制度における各指標の位置づけ
住宅性能表示制度では、C値、UA値、Q値は、それぞれ異なる項目で住宅の性能を評価するために用いられます。
位置づけは、C値が「気密性」、UA値が「断熱性」、Q値が「熱損失対策」です。これらの指標は等級で評価され、それぞれ基準値が定められています。
評価項目 | 等級 | 基準値の例 | |
UA値 | 断熱性能 | 1~8 | 等級8(最高等級):0.40W/m²K以下(地域による) |
Q値 | 熱損失対策 | 1~5 | 等級5(最高等級):1.9W/m²K以下(地域による) |
C値測定と改善提案のプロセス
C値は、専門の業者による気密測定試験によって測定されます。ここで、測定の流れと結果に基づく改善提案の流れについてご紹介しましょう。
1. 準備…測定を行う前に、窓やドアを閉め、換気口などを塞ぐ。
2. 測定…気密測定器を用いて、住宅内外の気圧差を作り、その時の空気の漏れ量を測定する。
3. 解析…測定結果を基にC値を算出し、隙間の多い箇所を特定する。
4. 改善提案…測定結果に基づいて、隙間を埋めるための具体的な改善策を提案する。
C値を理解して賢い住宅選びをするポイント
住宅選びや家づくりの際には、C値の確認が不可欠です。
まず、気密性能を示す証明書の確認が重要です。建築を依頼する施工業者から気密性能証明書を提示してもらい、記載されているC値をチェックしましょう。もし、証明書が提示されない場合は、C値の測定方法や測定結果に対する保証の有無などについて、施工会社に直接問い合わせて確認することをおすすめします。
また、高気密住宅のモデルハウスや完成見学会への積極的な参加も有効です。気密性能に自信を持っているハウスメーカーや工務店であれば、見学会などの場で実際に気密測定を実施してくれる場合もあります。このような機会を利用して、C値を具体的に把握すると良いでしょう。
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よくある質問
C値はどのくらいがいい?
C値の推奨値は、地域や住宅の種類によって異なりますが、一般的には、以下のようになります。
・高気密住宅:1.0 cm²/m²以下
・超高気密住宅:0.5 cm²/m²以下
寒冷地では、暖房効率を高めるために、より厳しい基準が設けられます。たとえば、北海道などでは、C値0.5 cm²/m²以下が推奨される場合もあります。
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北海道や東北地方のような寒いエリアでは、C値の低い高気密住宅が多く採用されます。ロゴスホームにおいても、高気密高断熱の家づくりに取り組んでおり、実績も豊富です。
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まとめ:C値の重要性と高気密住宅のメリット
C値は住まいの気密性を数値で表したものであり、数値が小さいほど家の中の隙間が少なく、気密性が高いことを示しています。具体的な基準値としては、1.0cm²/m²以下が高気密住宅の目安です。高気密住宅は隙間が少ないぶん、冷暖房効率が向上し、省エネルギー効果が期待できます。一般的な住宅と比較して、冷暖房費を30〜70%削減できるというデータもあるほどです。夏涼しく、冬暖かい住まいを求めるなら、C値の低い高気密住宅を目指す必要があるでしょう。
ロゴスホームでは、家づくり全般に関する疑問はもちろん、住宅性能に関するご相談も承っております。
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