この記事の目次
「家の建て替え費用の相場が知りたい」
「建て替え費用を抑える方法はある?」
家の老朽化やライフステージの変化で建て替えを検討するとき、このような疑問をもつ人も多いでしょう。
費用の相場を把握して、納得できる建て替えをしたいですよね。
今回は、建て替えについて次の内容を詳しく解説します。
建て替え費用の相場・内訳
費用の節約方法
建て替えで使える補助金
計画段階で知っておきたい注意点も紹介しますので、後悔のない選択をするための参考にご覧ください。
そもそも家の建て替えとは?
家の建て替えとは、既存の基礎部分からすべてを解体し一度更地にして、ゼロから新しい家を建てることをいいます。
すべての設備や間取りを一新できるだけでなく、最新の建築技術を用いて家を建てられるので、耐震性や断熱性などの住宅性能を大幅に高められます。
老朽化が気になるとき以外にも、家族の人数やライフステージの変化にともなって住みにくさを感じたときに、住まいの形を大きく変えられるのが魅力です。
ただし「解体」と「新築」の両方の費用がかかるほか、工期が長いので、仮住まいの賃貸料金や2度の引っ越し費用などコストが高くなる点はデメリットといえます。
建て替えとリフォームとの違い
「リフォーム」とは、古くなった水回りの設備やクロス、床材など、老朽化した箇所を補修したり取りかえたりして新築時の状態に戻すことを指します。
「建て替え」との違いは、基礎を残すか、解体するかの点にあります。
建て替えは既存の基礎部分から解体し一度更地に戻しますが、リフォームでは大規模な工事であっても、基礎はそのまま使用します。
工事規模の小さいリフォームのほうが、建て替えよりもコストを抑えられるでしょう。
建て替えとリノベーションとの違い
「リノベーション」は、既存の住まいを改修して、さらに価値を高めることをいいます。
建て替えとの違いは、リフォームと同じく、既存の基礎をそのまま使用する点にあります。
リフォームが原状回復を目的としているのに対し、リノベーションは新築当時よりもさらに住宅性能を高めて、住まいを生まれ変わらせる規模の大きい工事です。
壁を取り払って空間を広くしたり設備の配置を変えたりと、家全体を包括的に見直すため、リフォームに比べるとリノベーションのほうが、費用は高くなる傾向にあります。
家の建て替えに向いている人の特徴
建て替えが適しているのは、次のようなケースです。
◆建て替えが適している人
住み慣れた土地に今後も住みつづけたい
新たな住まいを探す労力を省きたい
家を次の世代に引き継ぎたい
必要な資金を用意できる
◆建て替えの検討がおすすめの家の状況
全体の老朽化が著しい
耐震性や断熱性が低い
地盤の影響で家が傾いている
広さや間取りが現在の暮らしにマッチしていない
基礎や柱など構造体の多くの部分に補修が必要な場合、部分的に改修してもあとで不具合が発生する可能性があるため、建て替えを検討するのがおすすめです。
1982年以前に「旧耐震基準」で建てられた家で耐震性に不安がある場合も、建て替えが適しています。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
建て替え費用の相場は全国平均で4,487万円
国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」によると、建て替え費用の相場は全国平均で4,487万円でした。
◆建て替え・新築別 住宅建築資金の全国平均の推移
令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | 令和元年 | 平成30年度 | |
建て替え | 4,487万円 | 3,299万円 | 3,055万円 | 3,555万円 | 3,491万円 |
新築 | 3,866万円 | 3,489万円 | 3,184万円 | 3,183万円 | 3,158万円 |
出典:国土交通省 住宅局「令和4年度 住宅市場動向調査 報告書」
過去5年の資料を見ると、建て替え・新築ともに費用は3,000万~3,500万円で推移しており、その差は大きくありません。
令和4年度は、近年のウッドショックや半導体不足などによる建築資材の高騰によって、どちらも過去5年で最も高くなっています。
特徴的なのは、建て替えの自己資金比率が新築の約2倍で、建築資金の半分程度を自己資金でまかなっている点です。
◆建て替え・新築別の自己資金率(令和4年度)
住宅建築資金 | 自己資金 | 自己資金率 | |
建て替え | 4,487万円 | 2,093万円 | 46.7% |
新築 | 3,866万円 | 1,023万円 | 26.5% |
出典:国土交通省 住宅局「令和4年度 住宅市場動向調査 報告書」
建て替え費用は間取りや階数、広さによって変わる
建て替え費用は、広さや階数、間取りによって変動します。
広さ別の建て替え費用の目安は、次のとおりです。
20坪 | 1,500万〜2,500万円程度 |
30坪 | 1,700万~3,000万円程度 |
40坪 | 2,500万〜4,500万円程度 |
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《流れ順》建て替えにかかる費用の内訳
家を建て替える際には、さまざまな費用が発生します。
古い家の解体や新しい家の建築、引き渡しまでの流れとともに、どの場面でどんな費用が必要なのかを時系列順に表にまとめました。
建て替えの流れ | 費用の内訳 | |
新しい家の契約 | ①建て替えの計画を立てる | 特になし |
②建築会社を決める | 特になし | |
③設計プランの相談・見積り |
施工店と設計事務所が別々の場合、設計費用のみ設計事務所に支払う |
|
④建築事請負契約を交わす | 契約金 | |
印紙税 | ||
⑤住宅ローンの申し込み | 住宅ローン手数料など | |
古い家の解体&仮住まい | ⑥解体業者を決める | 着手金 |
⑦仮住まい探し&決定 | 賃料・敷金・礼金など | |
⑧仮住まいへ引っ越し | 引っ越し費用 | |
⑨解体工事開始 | 解体工事費用 | |
新しい家の建築費用 |
⑩地盤調査・地盤改良工事 |
地盤改良工事費用 |
⑪新築工事開始 | 建築工事費用 | |
竣工後 | ⑫引き渡し・登記手続き | 登録免許税 |
不動産取得税 | ||
火災保険・地震保険 | ||
⑬新しい家へ引っ越し | 引っ越し費用 |
新しい家の建築費用の支払いについて、契約金を支払うタイミングや回数は、ハウスメーカー・工務店により異なります。
1:解体費用
古い家の解体費用は、その構造によって坪単価が異なります。
おおよその相場は次の通りです。
構造の種類 | 解体費用の相場 |
木造 | 3万円~5万円/坪 |
鉄骨造(S造) | 4万円~6万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 6万円~8万円/坪 |
一般的な2階建てよりも平屋の方が基礎のコンクリート施工面積が広いため、解体費用が高くなる傾向があります。
ガレージやブロック塀など外構に関わる建築物や、庭木の撤去及び移植にかかわる作業は、別途費用がかかります。
また、立地条件や築年数、隣家との距離、大型作業車の出入りのしやすさなどの諸条件によっても費用は変わってくるため、見積り段階であらかじめ確認しておく必要があります。
2:新しい家の建築費用
家を新しく建て替える際の費用相場は、家の構造や使用する建材、設備、性能、そして依頼するハウスメーカーや工務店によって大きく異なります。
一般的には、木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート造の順で建築費用が高くなり、階数などによっても費用は変わってきます。
ちなみに、国土交通省が公表している「住宅市場動向調査報告書」のデータによると、建て替えでかかる建築資金の令和4年度の全国平均は、4,487万円。
建て替え後の延べ床面積は、全国平均で138.8㎡=41.98坪です。
全国平均額から建築工事費の内訳を算出したのが次の表です。
新しい家の建築費用 | (全国平均)4,487万円 | |
建築工事費の内訳 | 本体工事(建築資金の7割) | 3,141万円 |
付帯工事(建築資金の2割) | 897万円 | |
諸経費(建築資金の1割) | 449万円 |
全国平均の延べ床面積の坪数と、本体工事費から算出した坪単価は約75万円であることが分かります。
3,141万円÷41.98坪=約75万円/坪
出典:国土交通省 住宅局|令和4年度住宅市場動向調査報告書 P32、P101
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家の建て替えにかかる忘れがちな諸費用
家の建て替えでは、解体費や新しい家の建築工事費以外にも、各種税金や保険料、仮住まいにかかわる費用などが発生します。
建て替えの際に必ず支払うべき諸費用は、次の5つです。
1:引っ越し・仮住まい費用
建て替え期間中は仮住まいで生活することになりますが、その引っ越し費用も忘れてはいけません。
引っ越し費用は2回分必要です。
今住んでいる古い家から仮住まいへ移るときと、仮住まいから新しく建て替えた家に移る際、それぞれに費用が発生します。
引っ越し業者の繁忙期は、2月~3月の春先と9月頃。
この時期は費用が2倍近くに跳ね上がることもあるので注意しましょう。
また、仮住まいにかかわる賃料や敷金、礼金、仲介手数料などの契約金も必要となります。仮住まい先に荷物が入りきらない場合は、トランクルームの利用も検討しましょう。
2:印紙税
契約書などの課税文書に課せられる税金で、建て替えの際には「工事請負契約書」で必要となります。
その税額は契約書に記載されている金額によって算出され、契約書にその額分の収入印紙を添付して納税します。
契約書に記載されている金額 | 【本則税率の場合】 印紙税額 |
【軽減税率の場合】 印紙税額 |
500万円超え~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超え~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超え~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超え~5億円以下 | 10万円 |
6万円 |
※軽減税率は令和6年(2024年)3月31日まで適用されます。
参考:国税庁
不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置
不動産譲渡契約書』及び『建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について
3:登録免許税
法務局で不動産の登記手続きを行う際に納める税金です。
建て替えの場合は、主に次の4つの登記が必要となります。
登記の種類 | 必要な時期 | 登記免許税額 | 軽減税率の場合 |
建物滅失登記 | 建物を 解体したとき |
登録免許税は不要 | |
所有権保存登記 |
新築の建物の |
不動産の価額 (固定資産課税) ×0.4% |
不動産の価額 (固定資産課税×0.15%) (長期優良住宅・低炭素住宅の場合0.1%) |
抵当権抹消登記 | 住宅ローンを 完済したとき |
不動産1つにつき1,000円 | |
抵当権の設定登記 | 住宅ローンを 組んだとき |
住宅ローンの借入金額×0.4% | 不動産の価額(固定資産課税×0.1% |
※軽減税率は令和6年(2024年)3月31日まで適用されます。
4:不動産取得税
土地や建物などを取得した際に一度だけ課せられる地方税のことで、本則では課税評価額の4%となります。
軽減税率が適用される令和6年(2024年)3月31日までに取得した場合は、税率は3%です。
不動産の種類・取得日 | 令和6年(2024年)3月31日まで | |
土地 | 不動産の価格(課税評価額)×3% | |
家屋 | 住宅 | 不動産の価格(費用の相場課税評価額)×3% |
住宅以外 | 不動産の価格(課税評価額)×4% |
不動産の価格(課税標準額)とは
実際の購入価格や請負価格ではありません。
原則として市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格になりますが、新築・増築家屋のように、固定資産課税台帳に登録されていない場合などは、総務大臣が定める固定資産木評価基準によって評価・決定した価格になります。
※固定資産評価基準は、3年ごとに改正されます。
住宅や住宅用地の特例措置
床面積が50㎡(一戸建て以外の貸家用共同住宅にあっては40㎡)以上、240㎡以下の新築住宅の場合、固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。
出典:不動産取得税 – 総務部財政局税務課/総務省|地方税制度|不動産取得税
5:火災保険・地震保険料
住宅ローンを組む際には、一定額以上の火災保険への加入が求められます。
火災保険・地震保険は、人ではなく建物にかける保険です。
家の大きさや構造、補償内容によって保険料は変わってきます。
古い家で契約していた火災保険・地震保険については、建て替えの際に契約内容を変更するか、一度解約して再度加入し直さなければなりません。
建て替え期間中の保険は、基本的に施工会社が加入するものですが義務ではありません。
契約前に施工会社に確認しておきましょう。
建て替え期間中の保険料を節約したい場合は、古い家を解体したタイミングで解約するのがベストです。
火災保険を途中解約した場合は未経過期間分の保険料は返還してもらえます。
一度保険会社に問い合わせて、再加入のことや、解約後の保険料の返還にかかわることなどを相談しておきましょう。
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家の建て替えで場合によってはかかる費用
家の建て替えにおいて、必ずしも費用が発生するわけではないけれど、場合によっては支払いが求められる費用があります。
いざ必要となったときに慌てないように、事前に備えておきましょう。
1:地盤調査・地盤改良工事費用
これまで家が建っていた土地であっても、地盤調査は必須です。
地盤に問題がない場合は関係ありませんが、調査の結果次第では地盤改良が必要となります。
地盤改良とは、建物を安全に支えるために必要な支持力を得るために行う地盤補強工事のことで、主に「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」の3種類の方法があります。
工事の種類 | 坪単価 | 30坪の場合 |
表層改良工法 | 1~3万円/坪 | 30万円~90万円 |
柱状改良工法 | 3~5万円/坪 | 90万円~150万円 |
鋼管杭工法 | 5~7万円/坪 | 150万円~210万円 |
家が解体された後でないと、地盤改良工事が必要かどうかは判断できません。
想定外の出費が発生する場合があるので注意が必要です。
2:住宅ローン関連費用
建て替えの際に住宅ローンを組む場合には、ローンの事務手数料や保証料などが必要となります。
これらの手数料は、金融機関によって大きく異なります。
同じ金融機関内でも、WEB申し込みの場合やプランの内容によって差があるため、事前によく確認しておきましょう。
3:測量にかかる費用
家を建てる際には、土地の測量は必要不可欠です。
土地の形状や境界線を確定させることで、近隣との境界トラブルを未然に防げます。
測量調査は土地家屋調査士や測量士に依頼することになりますが、住宅用地を測量する場合は「現況測量」が一般的で、費用は約10~20万円ほどです。
既存の家を建てたときの「現況測量図」があり、土地の境界線がはっきりしている場合には、改めて測量を行う必要はありません。
4:地鎮祭、上棟式の費用
地鎮祭(じちんさい)とは、家の工事に入る前に土地の神様を祀り、工事の無事と家族の繁栄を祈る伝統的な祭事です。
一方、上棟式(じょうとうしき)とは、建物の棟上げをする際に行う儀式で、家屋の守護神と大工の神を祀って工事の安全を祈るものです。
「棟上げ式」とも呼ばれます。
これらの儀式は、必ずやらなければいけない、というものではありません。
実施するかどうかは施主が判断します。
儀式の規模や参加人数、地域によっても異なりますが、おおよその費用相場は次の通りです。
儀式の種類 | 費用相場 |
地鎮祭 | 5万円前後 |
上棟式 | 10~30万円 |
ハウスメーカーや工務店によっては、プランの中に地鎮祭や上棟式の費用が含まれる場合もあります。
事前に確認しておきましょう。
5:家具、設備費用
照明や家具、エアコン、カーテンなどのインテリアや家電製品は、新しい家に合うものでコーディネートしたいですよね。
特にカーテンなどは、新しい窓のサイズや形状に合わせる必要があるため、ほとんどの場合は新調することになります。
これらの費用もあらかじめ準備しておきましょう。
ただし、照明やエアコンなどの設備はプランに含まれていることも多いため、どの範囲を自分たちでそろえる必要があるのかを確認しておくことが大切です。
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建て替えで費用を節約するためのポイント
家の建て替えには大きな金額が必要となるため、できる限り費用を抑えたいところですよね。
ここでは建て替えにかかわる費用を節約する方法についてご紹介します。
解体・建築にかかる費用が高額である分、それぞれのポイントを意識することで大きな節約効果が期待できます。
給付金・補助金・減税措置を有効活用する
建て替えに限らず、家を新しく建てたりリフォームしたりする際には、国や自治体からの給付金、補助金、減税措置などを最大限に活用しましょう。
家の性能や広さ、工事内容によって申請できる内容も変わります。
また、年によって給付金や補助金などのシステムや金額は変わるため、計画の段階から「今、申請できる内容はどんなものか」をチェックしておくことが大切です。
複雑な条件で分かりにくいことも多いので、ハウスメーカーや工務店などのプロに相談して調べてみると良いでしょう。
給付金や補助金の内容によっては、専門機関に登録された会社で設計・施工した場合でないと申請できないこともあります。
それらの条件も含めて、契約する前にしっかりと「給付金や補助金対象となっている会社なのか」を確認しておきましょう。
解体工事の分離発注とまとめて依頼で費用を比較する
解体工事と新しい家の建築工事について、分離発注した場合とまとめて依頼した場合との費用を比較しましょう。
場合によっては、まとめて依頼した方が費用を安く抑えることができ、解体工事費用を含めて住宅ローンを利用することができます。
まとめて依頼する際に確認したいのは、解体工事を別途下請け業者に発注しているかどうかということ。
家を建てる建築会社と解体業者が別々の場合はその間にマージンが発生するため、分離発注した方が安く済む可能性があります。
ただし、分離発注した場合は自分で解体業者を探す手間や時間、労力がかかることも念頭においておきましょう。
また、別々の会社に工事を依頼した場合、連携が上手く取れないことも。
トラブルが起こった際の対処が遅くなったり、余計な費用が発生したりすることも考えられるため注意しましょう。
新しい家の建築費を抑える
家の建築費用を抑えることは、大きな節約につながります。
例えば次のような条件の家だと、コストが跳ね上がる原因になります。
● 中庭・坪庭がある
● スキップフロアを多く取り入れている
● 水回りが分散している
● 屋根や外壁の形状が複雑
など
できるだけ費用を抑えたい場合は、家の形状をシンプルにすることを心がけましょう。
シンプルな形状にすることで、のちのち修繕が必要となった場合のメンテナンス費用も軽減できます。
いらない家財道具を事前に処分する
古い家を解体するときに、建物内や敷地内にいらない家財道具(残置物)が残っていると、解体業者から追加費用を請求される可能性があります。
いらないものは、あらかじめ自分たちで処分しておきましょう。
不用品の種類によっては、解体業者に処分をお願いした場合が安く済む場合もあります。
事前に確認してみましょう。
仮住まいの費用を抑える
家の建て替え期間は、解体工事を含めると、数ヶ月から場合によっては1年近くかかることもあります。
その間の仮住まいの費用も馬鹿になりません。
できるだけ仮住まいにかかる費用を抑えましょう。
● 賃料の安い物件を探す
● 引っ越し費用が安い時期に引っ越す(2~3月や9月などの繁忙期を避ける)
● 入りきらない荷物はトランクルームに預ける
他にも、仮住まいを契約する際には敷金・礼金・仲介手数料などが発生します。
これらの諸費用がかからないような物件選びが大切です。
複数のハウスメーカーで相見積りをとる
建て替え費用を抑えるために、複数のハウスメーカーに見積りを依頼し、比較検討することはとても重要です。
可能な限り、詳細部分まで費用内訳を出してくれるハウスメーカーを選ぶようにしましょう。
見積り段階で一見安いように感じても、内容をよく見ると「概算」で費用が曖昧だったり、必要な工事が「別途費用」とされていたりするケースもあります。
契約後に想定外の費用が請求されてしまう恐れもあり、トラブルにつながりかねません。
ハウスメーカーを検討する際には、費用の安さだけでなく「こちらの希望と真摯に向き合い、寄り添ってくれる会社かどうか」という点もチェックしておきたいところです。
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家の建て替えに使える補助金はある?
古くなった家を解体して建て替えるとき、国や自治体による補助金制度を活用できる場合があります。
建て替えで使える補助金制度には、主に次の3種類があります。
- 築年数の古い家への解体費用のサポート
- 木造住宅の建て替え(耐震化)に関する補助金
- 環境に配慮した設備への補助金(省エネ・ZEH)
それぞれ解説します。
1:築年数の古い家への解体費用のサポート
多くの自治体には、空き家など老朽化した家の解体にかかる費用の一部を補助する制度があります。
解体費用の補助対象となるのは主に空き家ですが、そのほかにもブロック塀の解体費用を補助してもらえる制度もあります。
これは、道路に面したコンクリートブロックやレンガなどで造られた塀の解体や撤去費用の一部を支給し、地域の安全を守るのが主な目的です。
補助金額は自治体によって異なりますが、撤去費用の1/4~1/2程度、最大5万~15万円程度が相場です。
申請時期や要件、補助金額、申請の流れなどは自治体によって異なります。
また、給付金や補助金の内容によっては、専門機関に登録された会社で設計・施工した場合でないと申請できないこともあります。
それらの条件も含めて、契約する前にしっかりと「給付金や補助金対象となっている会社なのか」を確認しておきましょう。
2:木造住宅の建て替え(耐震化)に関する補助金
旧耐震基準で建てられた1981年(昭和56年)5月以前の木造住宅は、耐震性が不十分であると考えられるため、建て替えて耐震化する際に補助を受けられます。
自治体によってサポート内容は異なりますが、無料の耐震診断結果で基準より下回るときは、最大100万~200万円ほどの補助金が支給されます。
3:環境に配慮した設備への補助金(省エネ・ZEH)
建て替えで家を新築する際、環境に配慮した設備を導入することで、補助金を受け取れる制度もあります。
事業によって内容は異なりますが、多くの自治体では次のような設備が補助対象となっています。
・太陽光発電の導入
・省エネ給湯器の導入
・家庭用燃料電池システムの導入
・高断熱窓の設置
・雨水タンクの設置
・合併浄化槽の設置
国が実施しているZEH支援事業の要件を満たし、高い省エネ性能を備えている場合も、補助金が利用できます。
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語です。
具体的には、太陽光発電などで創りだすエネルギーと、断熱性を高めて使用するエネルギーを抑えることによって、家庭内のエネルギー収支を実質ゼロ以下にする住宅を指します。
ZEH住宅など省エネ性能の高い家では、外気温の影響を受けにくく室温を一定に保ちやすいので、冷暖房の稼働を最小限にできて光熱費を節約できます。
補助金によって初期費用を抑えられるほか、継続して日々の光熱費も節約できるため、建て替え時に省エネ性能を高めるメリットは大きいといえるでしょう。
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建て替えの注意点・検討すべきポイント
家を建て替えたいと思っても、土地の条件によっては今の家よりも建築面積が制限されてしまったり、建て替え自体が不可能だったりする場合があります。
建て替えを検討する際に、注意が必要な点について解説します。
再建築不可物件
旧法令では認められていた建築物も、現行の建築基準法では基準に満たず、建て替えられない建物のことを「再建築不可物件」といいます。
その主な理由は「接道義務」に違反しているから。
接道義務とは「幅員4m以上の道路に、建物の敷地が2m以上接していなければならない」という規定です。
緊急車両の通行や、災害時の避難路を確保するために設けられています。
再建築不可物件の場合、建て替えはできずリフォームやリノベーションで対応するしかありません。
しかし、場合によっては土地の周辺環境により建築を認められるケースがあります。
● 敷地に接している道路幅が4mに満たなくても、敷地を道路境界線からセットバックさせる「拡幅」を行い、敷地の一部を道路扱いにする
● 隣接地を借りる又は購入して接道義務を満たす
● 道路指定を受け、私道を建築基準法上の道路にする
他にも、土地の周辺に公園や水路、遊歩道がある場合は、敷地が2m以上接道していなくても良いとされることもあります。
事前に建築会社や不動産会社に相談してみましょう。
既存不適格建築物
建てた当時は合法的に建てられた建築物でも、建築基準法の改正により現行の法令では基準に適合しなくなってしまった建物のことを「既存不適格建築物」といいます。
この既存不適格建築物の建て替えをする場合には、現行の建築基準法に合わせ、建築面積や高さ、形状などが制限されてしまうことがあります。
現状の家より延べ床面積を増やしたくても不可能な場合があるため、事前によく確認することが大切です。
建て替えを見送り、売却を検討する際も、既存不適格建築物であることで査定額が下がってしまうこともあるため注意しましょう。
地盤改良
土地の地盤調査は、それまで建物が建っていた土地であっても必ず行います。
その調査結果によって、現行の基準にそぐわず軟弱地盤であることが判明した場合は、地盤改良を行う必要があります。
地盤改良の必要性は古い家を解体した後でないと分からないため、当初の見積りには含まれておらず、別途費用が追加されることになります。
万が一の場合に備え、建て替えをする際には地盤改良費の予算も見込んでおきましょう。
住宅ローン
建て替えによる住宅ローンは、一般的な新築の住宅ローンを申し込むことになります。
古い家のローンが残っている場合は「建て替えローン」を使うことで、古いローンと新しい家のローンをまとめて、1つの住宅ローンとして借りることができます。
実家の建て替えをする際には、建物の名義とローンを組む人の名義を一致させることがとても重要です。
場合によっては贈与税の課税対象となってしまうことがあるため注意しましょう。
出典:
国税庁「No.4508直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
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外観
1階平面図
2階平面図
これまで住んでいた家が古くなったことで、老朽化や隙間風が気になるようになり、今後も住み続けていく上で不安に感じるように。
リフォームやリノベーションも考えられたそうですが、これからの生涯コストのことも検討して、新築での建て替えを決断されました。
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まとめ
土地から購入する新築の場合とは違い、解体費用や引っ越し費用が2回分かかるなど、家の建て替えにはさまざまな費用が発生します。
条件によっては建て替えが不可能なケースもあるため、慎重に検討したいところです。
一方で、長年住み慣れた土地でこれからも暮らしていけるというのは、やはり安心感が違います。
今回の記事もぜひ参考にしながら、建て替えについてご家族で話し合ってみてくださいね。
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