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一戸建てを購入する際は購入費用ばかりに目が行きがちですが、実際に住み始めれば修繕費用や税金などの維持費も負担していかなくてはなりません。とはいえ、一戸建ての維持費についてどの程度必要なのか把握しきれないのも無理はないでしょう。家計を圧迫しないためにも、一戸建てを購入する際は維持費を加味して資金計画を立てる必要があります。
本記事では、一戸建てに必要な維持費が年間いくらかかるのかを中心に、維持費を抑えるポイントなどについても解説します。
一戸建ての維持費は年間約30〜50万円
一戸建てにかかる維持費は、年間30〜50万円が目安と言われています。おもな内訳は、税金・修繕費・保険です。
まず税金には、固定資産税や都市計画税が挙げられます。また修繕費については毎年かかるものではありませんが、将来的なメンテナンスを考慮して計画的な貯蓄をおすすめします。万が一に備えて保険に加入しておくことも将来の安心につながるでしょう。
ここからは、一戸建ての維持費の内訳について項目別にくわしく解説します。
固定資産税(約10〜20万円)
土地や建物などの不動産を所有すると、毎年かかる地方税として固定資産税が発生します。固定資産税の税額は「固定資産税評価額」がベースとなるため、土地や面積、形状によって1軒ずつ異なるのが特徴です。
固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で算出できます。固定資産税評価額は「各自治体が定めた土地や建物を評価した金額」を指しており、各市町村から送付される課税明細書で確認可能です。
一般的には物件価格の7割くらいと言われているため、物件価格が2,000万円の場合は固定資産税評価額が1,400万円前後となります。これに1.4の税率をかけると、年間の固定資産税額は20万円ほどとなるでしょう。
一方で固定資産税には減税制度があるほか、固定資産税評価額は築年数の経過により下がるため、実際に納める税額は上記の金額よりも安くなる可能性があります。さらに、長期優良住宅なら2年間の軽減措置が延長されます。物件価格が2,000万円なら、年17万円前後になるケースが多いようです。くわしくは、本記事の「維持費を抑えるポイント」を参考にしてください。 固定資産税は年1回まとめて支払えますが、年4回に分けて支払うのが一般的です。年4回に分けて納税する際は、1回につき4.5万円程度となるでしょう。
都市計画税(約5万円)
エリアによっては、固定資産税に加えて都市計画税を納める必要があります。都市計画税は、都市計画事業や都市区画整備事業の費用に充てる税金で、所在地が都市計画法による市街化区域内にのみ地方税として納税義務が発生します。
都市計画税の税額は「固定資産税評価額×制限税率」で求めることが可能ですが、制限税率は自治体ごとで異なるため確認が必要です。制限税率の上限は0.3%なので、仮に物件価格が2,000万円なら年間5万円前後が目安となるでしょう。
また、都市計画税には「小規模住宅用地の特例」と呼ばれる減免措置があります。
小規模住宅用地の特例は、課税対象が住宅の敷地となっている土地に対して課税標準を「3分の1」もしくは「3分の2」に減免する措置であり、期限は設けられていません。
さらに、小規模住宅用地の特例は都市計画税だけでなく固定資産税にも反映されます。土地面積が200㎡以下なら課税標準が「6分の1」に、200㎡超えの部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減されるのがポイントです。
修繕費(約10〜30万円)
新築はきれいな状態でも、築10年もすれば劣化による修繕が必要になる場面があります。毎年かかる訳では無いにせよ、将来のメンテナンスに備えて修繕費を積み立てておくと安心です。
修繕が必要な年数や費用は場所によって異なります。
たとえば修繕費用が高額になりやすい外壁・屋根塗装の場合、10〜15年に1回は実施しておきたいものです。もしも外壁と屋根の塗装を両方するのであれば1回あたり200〜300万円程度かかるため、年間の積立額は20万円前後は目安となるでしょう。当然、塗装の面積が大きいほど費用も高くなります。
また、キッチンやバス・トイレの水回り設備も、15〜20年を目安に取り替えなくてはなりません。まとめて交換すると工事費は200万円くらいになるため、年間の積立額は10万円前後が目安となります。
このほかにも、設備機器の交換や壁紙・床の張替えなど修繕箇所は多岐にわたるため、計画的に修繕費用を積み立てておく必要があります。もしも築25年でまとめてリフォームする際、その費用が500万円であれば1年あたり20万円の修繕費積み立てが必要となるでしょう。
保険(約1〜5万円)
一戸建てに関係する保険といえば、火災保険や地震保険が該当します。なかでも火災保険は、住宅ローンを利用するうえで加入必須なので、維持費として計上する必要があるでしょう。
火災保険の場合は建物の構造や補償内容、地域、契約期間によって保険料が異なります。たとえば自然災害の多い沖縄や九州などは、毎月の保険料が高く設定されているケースが多く、同じ物件価格でも保険料に大きな差が生まれます。
試しに、火災保険比較サイトを利用し以下の条件で保険料を調査しました。
・所在地 北海道札幌市中央区
・建物構造 耐火構造
・築年数 築10年
・保険金額 建物1,000万円・家財100万円
A社 | B社 | C社 | D社 | E社 | F社 | |
1年 | 18,490円 | 18,210円 | 13,230円 | 17,640円 | 17,800円 | 17,430円 |
5年 | 88,790円 | 88,790円 | 58,120円 | 83,370円 | 85,160円 | 83,250円 |
※保険比較サイトi保険を利用(2024年10月時点)
年間では約13,000円〜18,000円、5年で約58,000円〜88,000円ほどの保険料になることがわかりました。保険会社によって幅は広いものの、特約がある場合もあるので契約内容をしっかり確認しておく必要があります。
続いて地震保険は、火災保険と組み合わせて加入するケースが一般的です。加入する必要がない金融機関もありますが、こちらも自然災害が多い地域ほど保険料が高くなる傾向があります。保険料の目安は、毎年1〜4万円程度です。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
一戸建ての維持費の目安
実際に一戸建ての維持費がいくら掛かるのか、以下3つのパターンからシミュレーションしてみました。
【札幌市中央区】新築分譲住宅4,500万円
【旭川市】新築分譲住宅3,000万円
【苫小牧市】新築分譲住宅3,200万円
それぞれ面積や評価額などが異なるため、参考にしてみてください。
【札幌市中央区】新築分譲住宅4,500万円
まずは以下の条件で新築分譲住宅の維持費をシミュレーションしてみます。
所在地:札幌市中央区
販売価格:土地1,900万円・建物2,600万円
土地面積:132.21㎡(39.99坪)
延床面積:109.91㎡(33.24坪)
評価額:土地1,751.5万円・建物1,560万円
土地の評価額については2022年札幌市中央区の平均(43.8万円/坪)を参照に、また建物の評価額は建築費の60%としています。
また土地の面積が200㎡以下なので、土地の固定資産税は「小規模住宅用地の特例」が適用されます。
費用の種類 | 計算式 | 費用 |
固定資産税 | 土地:1751.5万円×1.4×1/6(小規模住宅用地の特例) 建物:1,560万円×1.4×1/2(軽減措置の適用) |
土地:約40,601円 建物:約10,920円 |
都市計画税 | 土地:1751.5万円×0.3×1/3(小規模住宅用地の特例) 建物:1,560万円×0.3 |
土地:約17,515円 建物:約46,800円 |
修繕費 | 築35年の修繕費平均※556万円÷35年 ※リフォーム産業新聞より |
年間約16万円 |
保険(火災・地震) | 所在地:札幌市中央区 構造:木造(耐火構造) 対象:建物のみ 保険金額:1,000万円 ※地震保険あり |
年額約12,000円 |
合計 | 年額約287,836円 |
【旭川市】新築分譲住宅3,000万円
続いて、旭川市の新築分譲住宅をシミュレーションしてみました。おもな条件は以下の通りです。
所在地:旭川市
販売価格:土地707万円・建物2,293万円
土地面積:190.00㎡(57.48坪)
延床面積:105.00㎡(31.76坪)
評価額:土地281.7万円・建物1,375.8万円
なお、土地評価額は2024年旭川市の平均(4.9万円/坪)を参照に、また建物の評価額は建築費の60%としています。
札幌市に比べると土地の坪単価と評価額が低いのが特徴です。また旭川市においても都市計画税を納める必要があります。
費用の種類 | 計算式 | 費用 |
固定資産税 | 土地:281.7万円×1.4×1/6(小規模住宅用地の特例) 建物:1,375.8万円×1.4×1/2(軽減措置の適用) |
土地:約6,573円 建物:約9,630円 |
都市計画税 | 土地:281.7万円×0.3×1/3(小規模住宅用地の特例) 建物:1,375.8万円×0.3 |
土地:約2,817円 建物:約4,127円 |
修繕費 | 築35年の修繕費平均※556万円÷35年 ※リフォーム産業新聞より |
年間約16万円 |
保険(火災・地震) | 所在地:旭川市 構造:木造(耐火構造) 対象:建物のみ 保険金額:1,000万円 ※地震保険あり |
年額約11,000円 |
合計 | 年額約194,147円 |
【苫小牧市】新築分譲住宅3,200万円
最後に、苫小牧市の新築分譲住宅をシミュレーションしてみました。おもな条件は以下の通りです。
所在地:苫小牧市
販売価格:土地411万円・建物2,789万円
土地面積:167.00㎡(50.79坪)
延床面積:105.93㎡(31.98坪)
評価額:土地213.3万円・建物1,673.4万円
なお、土地評価額は2024年旭川市の平均(4.2万円/坪)を参照に、また建物の評価額は建築費の60%としています。
旭川市同様、札幌市に比べると土地の坪単価と評価額が低いです。また苫小牧市においても都市計画税を納める必要があります。
費用の種類 | 計算式 | 費用 |
固定資産税 | 土地:213.3万円×1.4×1/6(小規模住宅用地の特例) 建物:1,673.4万円×1.4×1/2(軽減措置の適用) |
土地:約5,003円 建物:約1,171円 |
都市計画税 | 土地:213.3万円×0.3×1/3(小規模住宅用地の特例) 建物:1,673.4万円×0.3 |
土地:約2,133円 建物:約502円 |
修繕費 | 築35年の修繕費平均※556万円÷35年 ※リフォーム産業新聞より |
年間約16万円 |
保険(火災・地震) | 所在地:苫小牧市 構造:木造(耐火構造) 対象:建物のみ 保険金額:1,000万円 ※地震保険あり |
年額約11,000円 |
合計 | 年額約179,809円 |
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
維持費を抑えるポイント
一戸建ての維持費を抑えるポイントは、以下の3点です。
・固定資産税の軽減税率を活用する
・耐久性に優れた住まいを選ぶ
・自分で簡単なメンテナンスや修繕を行う
本記事で紹介した維持費はあくまでも目安の金額なので、工夫次第で維持費を抑えられます。ここで、維持費を抑える具体的なポイントについて解説しましょう。
固定資産税の軽減税率を活用する
固定資産税には、一定の条件を満たすことで税金が安くなる軽減措置が設けられています。一戸建てに適用される固定資産税の軽減措置は「新築住宅」「長期優良住宅」「既存住宅の改修」の3パターンです。
まずは新築住宅に関係する固定資産税の軽減措置をご紹介しましょう。
新築住宅の条件 ※2026年3月31日までに新築した際 |
固定資産税の軽減措置の内容 |
・床面積50〜280㎡ ・3階建て以上の耐火・準耐火構造住宅 ・住宅以外の部分がある際、住宅部分の床面積の割合が2分の1以上であること |
2分の1に減額(5年間) ※課税床面積120㎡までが限度 |
・床面積50〜280㎡ ・住宅以外の部分がある際、住宅部分の床面積の割合が2分の1以上であること |
2分の1に減額(3年間) ※課税床面積120㎡までが限度 |
3階建て以上なら5年間の軽減措置、それ以外なら3年間の軽減措置が受けられることになります。
長期優良住宅に関係する固定資産税の軽減措置について、減額される内容は新築住宅と共通しています。また新築住宅の条件に加え認定長期優良住宅である必要がありますが、軽減措置がそれぞれ2年間延長する仕組みです。
また固定資産税の軽減措置は新築に限る話ではありません。既存住宅を改修する際に「バリアフリー改修」「省エネ改修」「耐震改修」を行う際は、一定の条件を満たすことで固定資産税の軽減措置が受けられます。
バリアフリー改修 |
3分の1に減額(改修後翌年分の固定資産税に限り) ※住宅1戸あたり100㎡の床面積相当部分まで |
省エネ改修 |
3分の1に減額(改修後翌年分の固定資産税に限り) ※住宅1戸あたり120㎡の床面積相当部分まで |
耐震改修 |
2分の1に減額(改修後翌年分の固定資産税に限り) ※課税床面積120㎡までが限度 |
固定資産税の軽減措置は、内容によって申告期限が異なります。住居のある自治体に確認しましょう。
耐久性に優れた住まいを選ぶ
これからマイホームを購入・新築する際は、耐久性に優れた材料を使った家を選ぶことで修繕やメンテナンスにかかる費用を抑えられます。
たとえば瓦ぶきの屋根なら、一般的な瓦よりも粘土瓦のほうが耐用年数が長く、メンテナンスが必要になる期間も伸びます。外壁は、窯業系サイディングを使うよりもガルバリウム鋼板(金属系サイディング)を使えばメンテナンスの手間を抑えることが可能です。
一般的な一戸建ての外壁や屋根は10〜15年に1回を目安に塗装する必要がありますが、粘土瓦の屋根やガルバリウム鋼板の外壁を取り入れることで20〜30年に伸ばせられます。もちろん材料費は高価なので建築コストはかかりますが、維持費の積み立てを考える際、耐久性に優れた住まいのほうがお得になるケースもあるでしょう。
自分で簡単なメンテナンスや修繕を行う
修繕費を抑えるためには、日頃からこまめに手入れをすることが大切です。頻繁に掃除をして、異常に気付けるようにしておきましょう。不具合が小さいうちは、自分で修繕も可能です。
たとえば水回りの掃除や換気、窓枠の掃除をこまめに行えば、カビの増殖を抑えてリフォーム費用が安くなるケースがあります。壁紙や床の張替えは、専門業者に頼まなくても自分で作業することが可能です。
またこれからマイホームを新築する際、メンテナンスフリーの素材を選ぶと劣化や老朽化を防ぐことができ、メンテナンスまでの回数を減らせます。建築コストはかかるかもしれませんが、長い目で見て費用を抑えることが可能です。
そしてメンテナンスや修繕を行う際、一度にまとめておこなうよりも場所ごとにこまめに実施したほうが、トータルの修繕費用を抑えられます。たとえば、屋根や外壁塗装のように耐用年数が同じ場合はまとめて修繕したほうが安くなるケースもありますが、耐用年数が異なる箇所をメンテナンス・修繕する際は適宜行ったほうがお得です。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
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また、長期保証制度や充実したサポートシステムで、万一のトラブルにもスピード感を持って対応します。住まいの維持費に関するご相談も承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
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内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
まとめ
一戸建てにかかる維持費には、税金や修繕費、保険が含まれます。住まいの大きさや状態によって維持費も変動しますが、税の軽減措置やこまめなメンテナンスなどにより一戸建ての維持費を抑えることは可能です。また、これから住宅を購入・新築する際には、メンテナンスコストのかからない素材や構造を選ぶと維持費の節約に繋がります。購入費用だけではなく、維持費を含めて支出をシミュレーションしてみましょう。
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